第54回公開授業

「3DCGソフトを利用したロボットのアニメーションの作成」

「プログラミング演習」

研究授業
意見交換会
平成19年11月9日(金)
大阪学院大学高等学校

授業者:白川 雄三先生,西田 知博先生



研究授業  「3DCGソフトを利用したロボットのアニメーションの作成」・・・白川先生
           「プログラミング演習」
(プログラミングソフトPENの利用)・・・西田先生

 

 今回のキャラバンは、大阪学院大学とその付属高校の大阪学院大学高等学校の高大連携授業を見学させていただきました。高等学校3年生の情報コースの生徒が対象で, 「3DCG」か「プログラミング」の2講座のうち,どちらかを選択し,金曜日の5,6限は,大学のコンピュータ室を使って,大学の先生からやや高度な内容の授業を受けています。

 その授業の様子をレポートします。

 
授業風景1  「プログラミング演習」 (プログラミングソフトPENの利用)
この授業は、バリティチェックの理論を学びます。
まず、西田先生が白板に白と黒の四角片を任意に貼ります。それを、西田先生に分からないように生徒が1箇所白と黒を反転させます。

先生は、その行と列に1行・1列白と黒の四角片を貼り増しします。その時、各行と列の黒色の四角片の数が偶数となるように四角片の色を決めます。そして、白と黒の四角片の個数を数え右横と下に数を書きます。すると、その数字が奇数になる箇所が縦、横とも1箇所でてきます。その合点が、生徒が白と黒を入れ替えた箇所であると見つけることができます。

この原理を生徒に、「伝言ゲーム」を行って体験させます。授業で使われた伝言ゲームのプリント(下の3枚)を参照。
  伝言ゲーム1プリント   伝言ゲーム2プリント   伝言ゲーム3プリント

伝言ゲームでいかに正確に伝言できたかを、各チームの作品と、元の作品データをプロジェクターで白板に表示し比較させます。班によっては、正確に伝言しているところもあります。

その後,「初学者用プログラミング学習環境PEN」というソフトを使ってプログラミング基礎の授業も見せていただきました。

   
授業風景2  「3DCGソフトを利用したロボットのアニメーションの作成
その後、隣の教室に移動して、3DCGのロボットアニメーション作成を見学させていただきました。こちらは、「Shade」という3DCGのソフトを使って、ロボットに動きを設定するという内容でした。3DCGのソフトを使ったことのない私には、生徒たちが、サクサクと操作をしている姿は、頼もしく映りました。
この授業は、白川先生(大学教授)と福田先生(高等学校の美術科)のチームティーチングで教えておられます。情報コースの生徒を2講座に分けて、しかもその人数を大学の先生と高校の先生お二人で受け持たれるという贅沢(?)な授業です。
白川先生
福田先生
授業の後半は、生徒達の完成作品をプロジェクターで見せていただきました。
  どうもありがとうございました。
 
意見交換会
司会:松本先生(大阪学院大学高等学校)
意見交換会は、大学の1階にある教授会などにも使われているという素晴らしい部屋というかブースを使わせていただきました。前のスクリーンで、今までの情報コースの生徒作品(パワーポイントで詩を見せるという感じ)をみせていただきました。
   

松本先生の司会で、意見交換会が始まりました。

高等学校長 挨拶(大学の教授)
高大連携の授業の1つで、連携で情報教育を進めていこうと考えています。
西田先生
授業で使用したソフトは、「初学者用プログラミング学習ソフトPEN」(フリーソフト)で、「情報関係基礎」に出るようなプログラムを学習するように私たちが開発しました。プログラムの初期導入で使っています。

今年初めて高等学校3年の情報コースの生徒に教えています。見ていただいた授業は、大学1年生とほぼ同じような内容で進めています。大学生の場合は基礎コースは2.5ケ月で終了し、応用に入っていますが。

 

← 最初に見学していただいた授業のネタは、「コンピュータを使わない情報教育」という本から参考にしたものです。

白川先生
付属の専門学校で使っている3CDソフト(LightWave)は高価なので、安価で生徒でも購入できるShadeを使うことにしました。
初期 お皿 → 犬 → ロボット → ロボットを動かせる
shadoは初心者向きのソフトです。
福田先生(高校の美術科)とのチームティーチングで授業を行っています。
この先、ロボットの動きにストーリー性を持たせたいのですが、レタリングに時間がかかります。今まで18回授業(2時間授業)を行いましたが,後2回あります。

 

 

伊美先生(大阪国際滝井)
高大連携を進めていくなかで、問題点はどういったところですか?

福田先生
高大連携はこの情報コースを立ち上げたときから考えていました。大学または近くの情報関連の大学か専門学校へ進学して欲しいと考えて発足しましたが、半分は経済学部方面への進学希望です。
授業でプレゼンテーションを何度も行っているので、そういう力は付いていると思います。関西は関東地方に比べ、情報関連の仕事は少ないのが現状です。

白川先生
人の交流も含め、今まで高大の連携はありませんでした。校長は大学の教授が努めていますが、なかなかできていなかったのですが、今後深めていき、7年一貫教育を目指したいと考えています。

松本先生
情報コースを立ち上げた時から考えて、大学にこのような高大連携授業をお願いしたのです。一過性の出前授業ではなく、通年で行っています。

白川先生
25年前は高校生を教えていましたが、今と当時の高校生の雰囲気がかなり違うと感じます。ティームティーチングで心配しましたが、先生同士もうまくいっていて、やりやすいです。

西田先生
高校生に教えられ大変なこともありましたが、モチベーションは高く持っていました。高校の教員免許がないので、ティームティーチングで行っています。大学生相手と同じように教えてしまっていましが、いろいろ目先を変えてやれば、くっついてくると感じました。コンピュータを使わない教育を目指しています。

伊美先生
私も、関西大学の黒上先生のように、PCを使わない手作業の情報教育もやっています。

吉岡先生(京都女子高校)
私は、今38人を1人で受け持っています。今日のように少人数をしかも2人の先生というのはうらやましいです。12月15日にキャラバンを行います。JavaScriptでプログラミングの学習を見ていただきます。

西田先生
プログラミング学習は、小分けしてプログラムを作り、それらをつなげることが大切です。乱数でおみくじをミックスさせるように・・・

松本先生
VisialBasicをやっています。先生が示した例を、そのままタイピングするだけの内容になってしまっています。

森多先生(府立大正高校)
西田先生が使っておられたPENというソフトに興味を持ちました。

西田先生
メリットは、とっつきやすいということ。読めば分かるソフトです。導入にはいいが、長期的に使ってどうかは微妙です。プログラミングを体験するのが目的ならいいと思います。そういう意図で制作したソフトですから。

松本先生
現在の自分の授業では、自分で考え、次々求める生徒を作れていないと感じています。西田先生のプログラミングの授業を受けて、この大学へ行きたいと進路変更した生徒もいますので、何かを与えられる授業をしたいですね。

池田先生(上宮高校)
立命館大学とネット経由で高大連携の授業を行っています。現在、60数名が受講しています。20数名が立命館に進学し,他の生徒も指定校で進学先が決まっていますが、指定校などで進路が決まった生徒がだらけないですね。大学の大変さも教えてくれていますから。3学期には、大学で学ぶ数学を高校で教えることも計画しています。微分方程式や統計などです。

津田先生(薫英高校)
本校での高大連携授業としては、高校生のクラブ活動を利用して、運動の科学的分析をしてもらってはいますが、授業としてはやっていません。

白川先生
大学では授業支援システムを導入して、それをうまく活用しています。その中にあるシステムで、毎時間授業のアンケートを取っています。また、小テストも実施し、学習状況を学生に毎回見せてプレッシャーをかけています。高校でも使えるようにしたいのですが…

松本先生
振り返りシートは効果はありますね。コメントを返すのは大変だけど,重要だと思います。

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