第43回公開授業

高校1年国際科 「情報A」
1万円ぽっきり旅行パック コンペ
研究授業
意見交換会
平成18年7月7日(金)
大阪国際滝井高等学校
6限 (14時25分〜15時15分)
授業者 伊美 聡先生 (情報)



研究授業

 6限 1万円ぽっきり旅行パック コンペ 
   
−1グループ2〜3人で1万円以内の旅行プランを計画し、発表を行う。−

 

 大阪国際滝井高校の「情報科」の授業では、「あるテーマや課題について、目標や計画を設定し、方法を考え、学習活動を進め、成果をまとめて、発表し、互いに評価する」という一連の流れを生徒自身が経験して学ぷ「プロジェクト型学習」を行い、生徒の「問題解決能カ」の育成をめざし進めておられるそうです。

 その中では、生徒の授葉への意欲につながるよう情報科担当教員が「サンプル」を作成したり、評価の項目を表にまとめた「評価の観点表」を作っておられます。

 また、毎回の授業の終わりには、「ふりかえりシート」(授業案PDFファイル参照)というプリントを配布して、その日の授業で何を学んだかを記入し、ふりかえるようにするなど、生徒の意欲や成長が目に見えるように配慮をしているそうです。

その授業方針が教室に大きく掲示されていました。(右写真は前回の活動内容が書かれています。)
 

 

 今回見せていただいた授業は、「1万円ぽっきり旅行パック コンペ」 −1グループ2〜3人で1万円以内の旅行プランを計画し、発表を行う。− という11時間で完結するプロジェクト学習の3時間目でした。(11時間の進行予定は、上の指導案をご覧下さい。) 授業内容は、検索エンジンの説明と旅行プランをインターネットで検索するというものでした。

 
授業風景
授業の最初は、きっちりと挨拶します。

今日の授業についての説明です。

上で説明した情報科の授業方針について、今一度確認をしました。
検索エンジンについての説明です。教科書を提示モニタに映し出して、説明をします。
とても1年目とは思えないような堂々として、生徒に明確な指示をだしておられる伊美先生
質問があると、すぐに生徒の所へいって親切に指導されています!
絶えず教室全体に注意をして、困っている生徒がいないかどうかを確認する伊美先生
今回は、来年に教育実習を控えた大学生も参加してくれました。やはり現場を見る機会がないので、キャラバンは、貴重な場を大学生に提供しているようです。 情報を学ぶ生徒の生き生きとした表情を見て、校長先生もおもわずニッコリ!
参加の先生方も教室内をまわって生徒さんの様子を観察しておられます。
アッという間に授業は終わってしまいました。集中して取り組んでいました!
生徒たちからも真剣な質問が飛んできます。
 
意見交換会
 

司会: 長尾先生(大阪信愛女学院短大)

 

中田校長先生:
本校でも先生方の授業内容の向上を目指しています。先生方に年間2回は公開授業をやってもらうようにしています。今回のように外部の先生方に見ていただき、その後90分もの意見交換会をして、さらに内容の点検をしていだだけるというのは、とても伊美先生にとっても勉強になりありがたく思っています。

43回もこのような授業公開をやっていることは素晴らしいことだと思いますので、これからも続けて研鑽を積んでいただけたらと思います。

長尾先生:
プロジェクト型学習のシリーズでの授業で、11回あるうちの3回目の授業でした。教科書は実教出版ですね。では、先に今回の授業で、伊美先生にご質問があれば、どうぞ。

杉山さん:(啓林館)
ふりかえりシート1枚で3時間の授業に使っておられますね。企画書とふりかえりシートともに活用しているのですね。

伊美先生:
評価の観点表を使って、既存の旅行プランを写すだけではダメですよ、という指導をしています。

今井先生:(明浄学院)
この旅行プランのターゲットは、どの年代の人として説明しているのですか?

伊美先生:
自分たちの旅行プランを考え下さいと言っていますので、女子高校生対象の旅行プランとしています。

長尾先生:
女子高校生が行きたくなるようなプランを作ることが目的ですね。今、旅行会社にはパンフレットがいっぱいありますね。それらはもちろん、すごくよいできですよね。それらを使うというのはどうでしょうか?

伊美先生:
まずは、自分で考えてみて、次に友人と相談して問題解決ができればいいと考えています。

長尾先生:
パンフレットにないテーマを設定する方がいいのではないでしょうか?

松本先生:(大阪学院大学高校)
18青春切符は、それにいいですね。18青春切符は特別割引用ですから、その切符を使った旅行プランのパンフレットなんてありませんから。18青春切符を利用して駅弁を買ってくるプランというのもいいですよね。

伊美先生:
この学校の情報は、私が1人でやっている状況です。もう1人非常勤の先生がおられますが、初めての授業なので相談相手もいなく、私が大学院時代におこなったこととと同じ内容をやっています。

川口先生:(堺女子)
私は、時々生徒に聞いています。生徒の意見が聞けますし、それによってクラス・コースによって違う内容をやっています。

伊美先生:
本校の情報の時間は、国際科は1年で2単位。普通科のアカデミック(普通)・エクセレント(進学)・ナーシング(看護)・チャイルドケア(幼教)コースは、1年で1単位、2年で1単位の分割履修です。そのほかに、2・3年生の普通科のアカデミックコースで選択科目があります。

松本先生:
教科書を開けさせて説明していましたが、その間生徒達はインターネットをすることもなく、先生の説明に集中していましたね。本校では、なかなかそうはいかないです。

伊美先生:
席を決めて、普段の様子をチェックしています。

長尾先生:
評価の観点表を見て、話し合いを・・・・

伊美先生:
担当を決めているので、それらを評価してやっています。もっとはっきりと決めると、評価しやすいかも・・・

長尾先生:
先生方の中で、グループ評価をされている先生はおられますか?

伊美先生:
グループで評価しているので、連帯責任もあると生徒には説明しています。

西田先生:(近大附属)
樟蔭高校でグループワークをしています。各グループに100点を与えて、それらを自分たちで分配させています。

成瀬先生:(京都女子)
面白い取り組みと思うが、個々の考えと異なってもめるのではないかと心配ですが・・・

松本先生:
以前にグループワークをやったことがあります。好きな者同士でグループを組ませました。その代わり、問題が生じたらグループで責任をとりなさいと指導しました。

長尾先生:
生徒の立場で、このようなグループ評価についてどう思われますか?

伊崎さん:(京都女子大4回生)
大きな点数差があれば生徒は疑問に思うだろうけど、少々なら文句は言わないと思います。

今井先生:
グループで作業させたいとは常々思っているけれど、評価のことを考えると難しい面が多い。

長尾先生:
共学の方がグループ作業もやりやすいし、評価もしやすいでしょうか。女子校の方がそういった面ではやりにくいかも知れませんね。

長尾先生:
今回の旅行プランの対象をおじいさんとかおばあさん、または、子供が小さいお母さんのための小旅行というような特殊な対象とすれば、パンフレットもないだろうし、各自が考えざるを得ないのではないでしょうか。立場を変えて視点を考えるという事をさせるのは大切だと思いますね。教育実習生のみなさんも、教育実習に行って教員の立場を知り、少し変わるのではないでしょうか。

奥田先生:(大阪国際大和田)
国際科は海外への修学旅行ですが、ITスキルの時間はどうするのかなと感じましたが・・・

伊美先生:
スキル向上も必要だと思いますが、周りの友人の力を借りてUPさせたいと思っています。タイプ練習のページのリンク集をつくり、活用させています

松本先生:
ふりかえりスキルシートに、誰々から何々を教えてもらったかを書かせ、教えた生徒も評価してやるというのはいいですね。私もやってみたい。ところで、授業の中で、リンク集が出ているのに、Yahoo JapanのURLをタイピングさせたのは、どうしてですか?

伊美先生:
Yahoo JapanのURLは全員に是非覚えさせたいからです。でも、大人数のクラスを一人で授業を受け持つのは大変なんです。

成瀬先生:
おもしろリンク集を生徒から募集してはどうですか?

長尾先生:
Googleで、検索言葉をうまく入れさせる学習が必要ですね。

 

飯田先生:(四條畷学園)
検索窓に「○○とは」と入れれば、用語は一発で検索できますね。

伊美先生:
「ドラえもんが最初に放送された日は?」ということで検索を体験してもらっています。でも、今ではウィキペテリアがあるから、すぐに答えが見つかりますね。

松本先生:
ふりかえりシートを紙に書かせていますが、ワードかエクセルにタイピングさせてディジタル化した方が便利ではありませんか?

伊美先生:
入力が苦手な生徒もいますので、紙に書かせています。このシートを読むのが楽しみなんです。1枚のシートに3回分のふりかえりを書けるのですが、毎時間集めています。

長尾先生:
教育実習を控えて、今日の授業を見てどう感じましたか?

伊崎さん:(京都女子大4回生)
指導案に書かれている時間配分とはまったく違っていたので、大変だなあと感じました。私たちの教育実習では、1人がメイン、2人が補助で実習をするので、伊美先生がお一人でやっておられ、大変だなあと思いました。でも、生徒からの質問もあり、いい雰囲気で授業を進められていたので、参考になりました。

伊美先生:
サンプルを作ったり、評価の観点表を作るのはとても大変なので、現在、大阪国際大学の学生にボランティアで助手をしてもらおうと考えています。

長尾先生:
分からなかったらすぐに先生を呼ぶという習慣をつけたらダメだと思います。もっと、自分で解決することを学ばせないと・・・

伊美先生:
先生を呼ぶ前に、周りの友人に聞きなさいと言っています。情報はまず自分で考えて、近くの友人に聞くと言う流れがとても大切だと考えています。

伊崎さん:
Web検索の方法を知ったのは大学3回生の時で、検索にとても時間がかかりました。検索方法は大切なことなので、しっかり教えたいと思います。

浦崎さん:(京都女子大4回生)
評価が難しいなあ、と思いました。数学や社会の方が評価しやすいのではないでしょうか。

楠浦先生:(明浄学院)
今日の授業を見せていただき、伊美先生と生徒のコミュニケーションがうまくとれているなあと感じました。勉強になりました。

伊美先生:
先生方の実践で、女子高生が興味を持ってやるいい教材内容はないでしょうか?1年生の前段階では、自分を紹介する名刺作成をしたり、2年生では生徒自身がおすすめするものをパワーポイントで紹介する実践は行ってきましたが・・・

今井先生:
パワーポイントでイメージCM作成はいいと思います。テーマは自由にします。例えば、クラブ紹介(吹奏楽部紹介、ソフトボール部紹介とか・・・)

 

杉山さん:
このような評価の観点表は、生徒にいつ提示し説明しているのでしょうか?私は、生徒に事前に知らせておくことが大切だと思います。

伊美先生:
もちろん、このプロジェクト学習の内容やねらいを説明するときに、評価についても説明しています。 

今井先生:
旅行っていうのは、行く場所が楽しみなんでしょうか? それとも、行くプランを立てている過程が楽しいのでしょうか。1万円ポッキリというアイディアが良かったのかも・・・

 

 

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