<冬の教員研修会2005> のレポート

大阪府私学教育情報化研究会  
会長 奥田 三郎  
(大阪国際大和田中・高等学校校長)

 今回の研修会は、奈良県立大淀高等学校の杉崎 先生をお招き致しまして、昨年度の研修と同じようにワークショップを行いました。

 今回も大阪学院大学さんの2号館の地下ワークショップのために設計されている講義室と、グループごとにノートパソコンを用意して頂きました。毎年、素晴らしい施設を使わせていただきまして感謝しております。

  参加頂きました皆様、どうもありがとうございました。

テーマ 教科「情報」 ---「工夫のある実習に向けて!」---  (3学期の授業に活用しましょう)
月 日 2005年12月17日(土)
時 間 午後1時半〜午後5時
会 場 大阪学院大学 2号館(ワークショップのためのホール教室)
講 師 杉崎忠久先生 (奈良県立大淀高等学校 教諭)

講師のプロフィール:

1956年生まれ。新潟大学理学部生物学科卒。
パソコン通信は全く技術的な興味から入った、オタク人間。パソコン通信時代にいわゆるバーンアウトも経験(1988?)。
高取高校勤務時代(1986-1997)、いわゆる「パソコン通信」の時代に国際交流へのネットワーク利用に感心を持ち、(これも最初は技術的な興味で)実践することに。

米国姉妹校に生徒引率で1か月滞在。DOSからMacに転び、そのままヘビーユーザ。Macを勤務校にも導入してしまう(1991)「情報活用」という授業で、ネットワーク環境を取り入れ、グループでの作品制作を試みるなどした
(1992-1996)。

奈良県グループ研究の支援で、中学・高校の先生3名で「国際パソコン通信」の手引きを作成、県内の中学・高校に配布(1992-93)するも、時期尚早。

AGENE(国際電子ネットワーキング教育学会)と出会い、電子ネットワークを活用した実践やその啓発活動に関わる。このころ辻先生や長尾先生、APICNETや全国の活動していると知り合い、人生が変わる(1991-1997)。

NHK教育TV番組「てぃーんずネットワーク」制作に協力(1994-96)。100校プロジェクト(通産・文部省―当時―ネットワーク利用環境提供事業)に勤務校が選ばれ、主担当に。校内LANを自力で引いたり、廊下にインターネットキオスクを置いたりした。ハワイとのキーパルプロジェクト、地域情報交換プロジェクトなどに関わる。「全国お尋ねメール」(石原先生)に協力。100校のメーリングリストではヘルプデスク的役割。100校プロジェクト最終の成果発表会ではパネラをつとめる。(1994-1997)

このころ東海スクールネットの活動にも参加。あちこちの教育系MLに顔を出し「人間リピータ」として活動。「ネットワーク」は人の「ネット輪ーク」だと達観。1997年、大淀高校に異動(現職)。これを機会にネットワーク教育活動から足を洗おうとしたが、失敗。シニアのためのインターネット講座(1997-)公開講座で数回実施。校内LANやインターネット接続環境をゼロから構築し、草の根的に校内のネットワーク環境を整える(何もなし→ISDNルータADSL:1999-2002)。

2002年の情報設備更新で、ほぼ校内全域にわたるLAN環境をごり押しで認めさせた。英語コースの立ち上げに関連し、東海スクールネットのネパールプロジェクトで、留学生を受け入れるなど協力、校内での国際交流活動関わる。K-12「インターネットと教育」フォーラム(1999-2000・現在休止中)実施ワーキンググループ。某社「情報科」教科書・指導書の執筆にちょっぴり関わる(1999-2002)。情報科免許を現職員等講習会で取得(2001)

現任校(1992〜)では「企画情報部」部長として、ネットワーク教育に関わる仕事や国際理解教育活動を担当。サーバのお守りもしてます。

 
参加者
教員・学生・業者の方併せて40名の参加者でした。
内 容

13:30〜
大阪学院大学 2号館はこんな立派な建物です 地下1階のワークショップ専用教室
地下1階のワークショップ専用教室の様子です

長尾先生の司会で研修会が始まりました 奥田会長の開会のご挨拶
講師の杉崎先生の紹介 杉崎先生から、研修内容とグループ分けの発表
■ワークショップのために、参加者を下の5つのグループに分けました。
 Aグループ 長谷川卓也 京都橘高等学校
斎藤祐子 関西大学学生
吉澤秀樹 (株)キャリアリンク
林恵美子 プール学院高等学校
飯田英佳 四條畷学園高等学校
 Bグループ
西田大介 近大附属高等学校
吉村剛志 府立春日丘高等学校
川崎初治 飛翔館高等学校
津田郁夫 大阪薫英女学院高等学校
 Cグループ 森本哲哉 堺女子高等学校
小路光夫 英真学園高等学校
村嶋節子 浪速高等学校
村上 徹 精華高等学校
岡本弘之 聖母被昇天学院高等学校
 Dグループ 成瀬浩健 京都女子高等学校
大見真一 大阪学芸高等学校
高橋 望 東海大付属仰星高等学校
吉野康雄 飛翔館高等学校
 Eグループ 寺田智久 城南学園高等学校
上銘香苗 関西大学学生
米田謙三 羽衣学園高等学校
小林直行 清教学園高等学校
青木弘倫 三谷商事(株)
企業グループ NTTデータ関西さん
キャリアリンクさん
コクヨさん
大塚商会さん
日本文 教出版さん

■研修(1) まず各グループで、用意してある付箋紙を活用して,各先生方がこれまで実践されてきた授業に関する情報を共有する。

■作業
(1) 付箋に「授業でうまくいった点」「授業でうまくいかなかった点」を各5枚ずつ書き出してもらう。
(2) その付箋紙を活用して、各グループ内で自己紹介する。
(3) 各先生方が書かれた付箋紙をグルーピングする。
(4) グルーピングした内容にラベルをつける。


■研修(2)各グループで実習を含む授業案を作成する。

■作業
(1) 3学期に実施可能な授業指導案を作成する。
(2) 授業時間数は、1〜数時間とする。
(3) 目標を考える。
(4) 授業展開を考える。
(5) 教材を考える。

   

■研修(3)各グループで考えた授業案をスライドにまとめて発表する。

■作業
(1) 発表時間は、各グループ5分以内とする。
(2) データ収集と発表は、各グループの机上にあるパソコンを使用すること。

研修(4)最後に、講師の杉崎先生からまとめと講評をしていただく。

 


研修(1)の付箋書きが始まりました。先生方の授業実践でうまくいったこと、うまくいかなかったことを最低5つずつ書きます。
うまくいった授業より、失敗した実践の方がたくさんあるし印象に残っているものですね。

付箋を書き終えた頃、杉崎先生からその書いた付箋を使って、
各グループで自己紹介を行うようにと指示がありました。
 
各グループのテーブルでは自己紹介で情報共有が始まりました。

続いて、各グループで書かれた付箋を実践内容別、成功・失敗別にグルーピングを行います。
そのグルーピングを行うことで、先生方が他の先生方の付箋内容を読み、情報共有ができました。

← 情報関連の企業から参加された方々でセッションを持ちました。
   長尾先生司会のもと「企業と研究会との連携の可能性」という
   テーマで熱心な討議が行われました。
   ご参加の皆さん、これからも宜しくお願いします。

休憩後、グルーピングされた資料を参考にして、3学期または来年実践できる授業案作りを各グループで検討します。
各テーブルのノートパソコンは、会場の大阪学院大学からお借りいたしました。

いよいよ、各グループで考えた授業案の発表です。発表順は、くじで。
■Cグループ 「野ぶたの携帯をプロデュース!」 発表者:村上先生   パワーポイント資料
■Bグループ 「暗号を使ってみよう!」 発表者:西田先生   パワーポイント資料
■Dグループ 「名刺をつくる(英語)」 発表者:成瀬先生   パワーポイント資料
■Eグループ 「教科情報の工夫ある授業」 発表者:上銘さん   パワーポイント資料
■Aグループ 「3学期の授業計画(全10回)」 発表者:齋藤さん   パワーポイント資料

■最後に、講師の杉崎先生から講評とまとめを行っていただきました。

その中で紹介していただいた「高橋メソッドマシーン」は
下の写真のように、より分かりやすい大きな文字だけで
印象づけられるプレゼンを可能にするソフトだそうです。
(使い方は、右のページをご参考に)

次に紹介していただいたのが「iPod」の活用。
ハードディスクが30GBあるので、動画を記録
し、接続するだけで下の写真のように動画を
見せることができるので、簡単に授業に活用
できるそうです。

iPod についての可能性   (ご質問・お問い合わせは  杉崎忠久先生まで  sugisaki@oyodo-h.ed.jp

◎一般的なこと
・基本は音楽プレーヤ
・現行は iPod G5(第5世代)、nano、shuffle の3系統
・×パソコン(Mac/Windows)が無いと全く使えない
・○操作性は抜群によい(と思う)
・写真の表示(iPod photo その後統合)、ビデオの表示(iPod G5)が追加
・画像や動画も含め、すべて iTunes というソフトを経由して行う
・外部ハードディスクとしても使用できる(ちょっと遅い)

◎テキスト機能
・テキストを表示できる。
・×テキストのサイズは1ファイル 4KB まで
・×テキストファイルの総数は 1,000 まで(らしい)
・○簡単な HTML が記述できる
・×リンクは他の HTML ファイルか、オーディオファイルに限定
  (フォルダや画像などへのリンクはできない。もともとは博物館の案内用途―― NoteReader 機能)
  技術文書
  http://developer.apple.com/hardware/ipod/ipodnotereader.pdf
  日本語訳(Kenichi Maehashiさん)
  http://www.kenichimaehashi.com/ipodroom/notereader/pro/

◎オーディオ機能
・AAC、MP3、AIFF、WAVE、AppleLossless などに対応
・可変速再生できる形式あり、ピッチは変わらない(オーディオブックのための機能)
  AAC ファイル(拡張子 m4a)を作成→拡張子を m4b に変える
  「やや遅い・標準・やや速い」から選択できる
・画像を埋め込める(本来は CD ジャケットの表示)
・テキストを埋め込める(本来は歌詞の再生)が、外部出力は無理

◎iPod を使ったプレゼン
・ビデオ(TV)出力のみ(ドックを使えば S 端子あり)
・×(細かな)テキストの表示には向かない(320×240)
・×画像または動画のみ出力できる(テキスト等の表示不可)
・常にビデオ出力されているわけではない
  ・×画像はスライドショー時のみ可能
  ・×出力は外部か本体か排他的(両方同時に表示できない)
・○画像検索がとても速い
・○画像表示が速いので、簡単なアニメーション、疑似動画として画像を使用できる
  (iPod photo、4G でも限定的に動画表示可能)
・裏技 通常の AV ケーブルの赤←→黄を逆接続すれば、純正ケーブルの代わりになる
・スライドショー間隔とBGMを指定でき、プレゼンの内容によっては使えるかも
  写真→スライドショー設定→スライドの再生時間→手動 に
  写真→スライドショー設定→トランジション→オフ に
  写真→スライドショー設定→TV 出力→確認 または オン に
・○PowerPoint などのスライドショーを利用できる(効果はだめ)
  (ファイル→別名で保存→PNG や JPEG で保存→iTunes で変換・転送)
・テキストを画像として書き出すソフト
  ボイジャー社の T-Time、Azur (もとは電子ブックリーダ)
  http://www.voyager.co.jp/
・×使用時間。動画を使用する場合、2時間程度しか持たない

◎iPod で使える動画の作成
・MPEG-4 または H.264(MPEG-4/AVC)
・QuickTime Pro(3,400円)
  ×高画質・低容量の H.264 への変換速度がたいへん遅い
  ×MPEG-2 からの変換に制限あり
   エレメンタリー形式(動画と音声とが別々のファイルになっている形式)のMPEG-2
   マルチプレクス形式のMPEG-2 には対応していない(QuickTime の制限)
・携帯動画変換君(Windows)
  http://www.nurs.or.jp/~calcium/
  ○オープンソースの ffmpeg を利用、変換速度が QuickTime の数倍速い
・iSquint、MPEG Exporter TNG(Mac OS X)
  http://www.isquint.org/
  http://www.h5.dion.ne.jp/~maclab/script/script-Exporter_TNG.html
 
◎iPod で使えるテキストの作成
・1 ファイル 4KB 以内
・iPod の text フォルダに入れる
・vCard 形式に変換して、アドレスブックを使う方法もあるらしい

     

これは、文房具店で販売されている紙のフォルダです。
どうしてパソコンのフォルダが黄色であのような形をして
いるのかを生徒に示しておられるそうです。
 
 
このように、アイコンを少し大きめのドットで作ったそうです。
今度は、最初に販売されたショルダー用携帯電話の実物大の模型でした。
生徒にこの大きさで、肩からぶら下げないと持てない重さであったと説明し、
より具体的に目で見せるためにご自分で作られるそうです。ご自分では、
もの作りが大スキなので・・・と話しておられました。
会場からのはいろいろな質問もでました。 本研究会副会長の川崎先生の閉会の挨拶で終了となりました。
   
ご参加いただきました皆様方、会場とパソコンを貸していただきました大阪学院大学様、どうもありがとうございました。

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