<春の研究発表大会> のレポート

大阪府私学教育情報化研究会  
会長 奥田 三郎  
(大阪国際大和田中・高等学校校長)

記録: 坂田篤志(関西大学)
 平素は,当研究会の活動に対してご理解,ご支援を頂きまして誠にありがとうございます。

下記の春の研究発表大会には約100名の参加をいただき、盛大に研究発表大会を開催できましたことをお礼申し上げます。今後とも本研究会主催の研修会にご参加いただき、学校の情報化と授業の情報化に役立てていただければありがたいです。

テーマ

「学校の情報化と授業の情報化」
月 日 平成17年3月6日(日)
時 間 午前10時30分〜午後5時
主 催 大阪府私学教育情報化研究会
後 援 大阪府私立中学校高等学校連合会
会 場 四條畷学園高等学校 飯盛嶺(いもりね)校舎 8階(特別教室)   アクセス(JR学研都市線「四条畷」駅下車徒歩1分)
対 象 教科「情報」の担当者,および授業の情報化に関心をもつ教員,学生,企業関係者など
参加者 100名  参加者名簿(PDFファイル)

参加者の内訳

・大阪私学教員: 41名
・公立教員: 7名
・京都,和歌山,兵庫の教員: 7名
・管理職: 5名(校長3・教頭2)
・大学教員: 6名
・大学生,院生: 8名
・企業: 30名

参加教員の教科

・情報科: 39名
・英語科: 8名
・数学科: 7名
・社会科: 1名
・国語科: 2名
・司 書: 1名
・ICTコーディネータ: 2名
  (複数教科保持者あり)


冊子は「リコー関西」さんのご協力でカラー刷り


資料は「ウチダシステム」さんのご協力で紙袋で


受付


展示ブース


展示ブース

会場の様子

午前の内容
<第2回・情報関連のミニ・セミナー>  (←詳細はここ)

■ 「学校現場で役立つ情報関連商品」

1) (株)アライドテレシス
2) (株)アルプスシステムインテグレーション
3)
 (株)ローランド エス・エス
4) (株)PFU


  (第1回の様子は ここ から)

開会の挨拶
研究会会長の奥田先生のご挨拶
日曜日の午後にもかかわらず参加ありがとうございます

午後から参加された方も多かったです


会場校の四條畷学園高校教頭の森行先生の挨拶

四條畷学園は「学校の情報化」に取り組んでいます。
 ・ 教員一人一人へノートPCの貸与
 ・ 教員間のグループウェアの活用
 ・ 全教員によるホームページ創り(公開掲示板)
 ・ 保護者へのパソコン講習会開催
 ・ 理事長,校長の教育情報化推進への理解と協力
 ・ 教員による授業の情報化推進  など

参考:
岐阜県各務原市那加中学校
  http://www.mirai.ne.jp/~nakachu/
 このページの学習構想研究会が,目玉だそうです。

井上志朗校長先生のページ
  http://www.inoue-s.net/
午後の内容

13:00〜

◆講 演:
  演題:「教育現場で必要とされる情報セキュリティとは?」          

        
−個人情報保護法完全施行を控えて−

             講師:
                    日置 慎治 教授
                           (帝塚山大学経営情報学部 情報教育研究センター長)

        講演の資料 (PowerPointファイル 約6MB)

   講演にありました NPO 日本ネットワークセキュリティ協会のアドレスは http://www.jnsa.org/ です。
   ここでお願いすれば,「インターネット安全教室」のCDや資料を送って頂けるそうです。

14:45〜 ◆研究発表
1) ルーブリック・チャート(評価)の活用と課題     松本真生子(関西大学総合情報学部)

   発表の資料 (PowerPointファイル 103KB)
 
 

「情報科の評価方法を確信している先生はほとんどいない。日本文教出版のルーブリックチャートというものがある。教科「情報」の評価ツール。」
「活用場面としては、生徒への授業の目標提示し、学習意欲を高める。プロセスの評価もできますがプロセスを評価してることは少ない。プロセスもプロダクトも評価できます。最後に振り返ることが可能。」
「基準を設定しているので、チェック項目と違って、バラつきが少ない。データの蓄積が容易、一年間のデータの蓄積。生徒の成長を見取る事ができる。チャート図を自動生成することができる。」
「教員の評判があまりよくないので、なぜ評判がよくないかを調査した。使用説明を受けたことのある先生を対象に行った。」

「結果は、継続している先生と、継続していない先生との違いは評価感の違いが大きいということだった。あと、ルーブリックチャートにも多少問題があるのではと思う。日本文教出版の方いるまえで、問題点を指摘するのは辛いんですが・・・。」
「改善案として考えられるのは」
 ・既存の評価後の見直しが考えられる
 ・マニュアルの向上
 ・実践例をもっと乗せる必要がある
 ・説明会の改善
 ・入力方法の新提案
「授業中のプレゼンの評価は紙ベースが多いのでは? ScanSnapを使えばいいんじゃないだろうか」
Nichibun.netで最新版がダウンロードができます」


◎参加者の意見
>冨永先生(大阪清凌高校)
「1学期間で1枚、生徒に手書きで書かせて集めて集計していたので、手間はかからなかった。」

>長尾先生
「基準を生徒に考えさせることは、意味があるんじゃないか?自分たちで価値基準をつけることができる能力も育成できるのでは?ScanSnapとOCRで入力という方法もあるという話がありましたが、日文さんできますよね?

>池田さん
「フォーマットを考える必要があるが、いろいろな入力方法があったほうがいいですね。」

   
2) Web制作を用いてのライティング学習の効果     大見真一(大阪学芸高校)

  発表の資料 (PowerPointファイル 1.1MB)

指導計画書(PDFファイル 500KB) 生徒作品例(PDFファイル 190KB)
         
 

「英語でWebページの制作を行わせた。生徒からはたくさんの不満がでたが、やってもらった。Webページは新しいライティングの教育のメディア、情報公開ができることが大きい。」

「一般的なライティングの授業では、課題提示があって、生徒がライティングをする、教師が添削をする、という流れ。これは書き手と、読み手が存在していない。教師は採点者、ただしく書けているかどうかを見ているだけ。生徒は、伝えることよりも正しく書こうとしている。内容のない英文を書いているだけ。」

「Webページに載せる事で、特定のひとではなく、不特定多数を対象にすることができる。ライティングの意義が達成される。」

「情報教育の視点は4つあるが、情報Aでは操作能力にかたよっている。操作のできる生徒が増えてくることを考えると、そのほかの視点も必要になってくる。学習指導要領をみると、コンピュータを上手く活用する必要性が書かれてある。下手な字、編集が容易、スペルチェック、みんなで見るには紙よりもコンピュータ、紙よりもコンピュータの方が客観的にみれる、ペアやグループで作業すると一人一人の参加度があがる。」

「Webページ制作を外国語教育にとりいれる利点は、最新の情報の多くは英語であること、Webはコミュニケーションのひとつであること、英会話よりもストレスが少ないことがあげられる。マルチメディア表現の交流をすることもできる。

「Webページ制作を用いたライティングの調査目的は、コンピュータリテラシーの向上、発信型英語力の向上、英語に対する学習意欲の変化、英語コミュニケーション力の向上、ライティング力の向上がある。」

「学習目標は発信型英語の自主的学習、ライティング力の向上、情報倫理についての理解、Web検索・情報収集力・分析・判断力の向上、異文化理解・国際理解、HTMLの理解」

「ライティングについての注意事項は、難しい英語を必要はないこと、Webのままの英文は、出展を記載すること、できるだけ自分の英語を使う事、翻訳サイト・翻訳ソフトをうまく活用すること、翻訳サイトを使っていいとなると生徒はこれならうまくやれるかなっと思う。」

・コンピュータの使用についての注意事項

・情報倫理についての注意事項

・英語圏にむけてWebページを作成する場合、注意しなければならないこと

A高校
 ・ 高校1年生の情報Aで行った。
 ・ 外国の人に読んでもらうのが楽しみという意見
  「英語力のテストでは単語量は減ったが、ライティング語数は上がった。」

B高校
 ・ 英語を使う機会が出来た
 ・ 簡単な英語しか使えない
 ・ おもしろかったが57パーセント

「結論としては、Web制作の課題への意見が賛否二分。単語力の得点が減少、ライティング力があがった」

「コンピュータリテラシーの向上には有効、伝えたい内容を英語で書く、発信型英語力の向上に有効、英語学習の動機付けに有効、英語コミュニケーション能力の向上には、実際に英語圏のコミュニケーション相手が必要」

「問題点は、授業時間外に課題に取り組む充分な時間・環境がない、他教科との連携がない、生の英語を理解するための語彙力を伸ばす必要がある」

「利点は、英語学習の動機付けに有効、世界中の人々とのコミュニケーションができる」

「留意すべき点は、バランスの良い指導をすること、その場限りはだめ継続的な学習が必要であること」

条件
 ・環境
 ・時間
 ・最低限のリテラシー
 ・コミュニケーション相手
 ・総合的課題の評価

>辻先生(帝塚山学院泉ヶ丘高校)
今は学習の動機付けは、入試になっていることが大きい。こういうことで学習の動機付けをするのはいい。


   
3)  学校における情報共有ツール 学校教員用グループウェア KINO0-Communicator の紹介
                                  木下早紀 ・ 小林直行(清教学園中・高等学校)

   グループウエア 「KINOCOデモ版」はこちらから
 
 

「今までなら、実際に会議をしてすり合わせをしていたのを、キノコを使ってやってみましょう」
「誰でもグループを立ち上げることができる。立ち上げた人と、参加している人の画面は違う」
「スケジュールの共有ができる。みんなのスケジュールを色別で表示、スケジュールのすり合わせが簡単」
「ファイルの共有が行える」

>長尾先生
 「グループウェアを使っていられる学校はどのくらいありますか?結構いますね」

>会場から
 「2年前からフリーのグループウェアを使っていたが、先生方に差があって、スケジュールを入れれない先生がいる。機能しなかったのでやめてしまった。」

>長尾先生
 「うまくいってる学校は?」

>飯田先生(四條畷学園高校)
 「去年の4月に先生全員にPCを貸与した。出勤をグループウェアで行う。インターネットにして欲しいという要望はあるが、現在はイントラ内のみ。朝に回覧板を流したり。ScanSnapで資料をデジタル化して配布したり。」

>会場から
「監査上、出席は問題はないんですか?」

「問題ない、CSVでデータ管理できる」

>小林先生(清教学園)
「グループウェアにはお金や負担がかかるが、彼女が、PCの保守以外にやってもらっている。教員の意識向上にもなる。私学ネットのHPにアドレスを載せてもらうので試しに使ってください。」

16:00〜 ◆実践報告
1)  第25回「情報」関連の授業公開キャラバンを実施して    今井隆史(明浄学院高等学校)
 

「最初は、免許をとってもどんな授業をしていいかわからない。しかし、アプリケーション講習授業だけはしたくなかった。私学ネットの公開授業に参加して、いろいろなアイディアを持って帰って授業に使った。お返しのつもりで、私も公開キャラバンを行おうと思った」

「心配だったのがキャラバン自体が、グレードアップしていたこと。普通の授業でいいのか?と思った。けれども、意見交換会が役立ち、その後の懇親会でしか聞けないこともあるから、と言われたので、やらせていただいた。」

「キャラバンについては、生徒たちはあんまり緊張していなかったが、私のほうがやせる思いだった。」

「管理職に見せる利点。直接的ではないがティームティーチングができるようになった」

「みなさん是非やってください、意見交換会はとても役立ちます。来年度是非、手をあげてください!」

>長尾先生
「他の学校の様子を知る事ができる。普段着で授業をしてもらうだけでいい。Webで申し込んで、授業案を上げて、VBBをたちあげる。そこで他の人の意見を聞くことができる。事前に特別なことをしなくてもいいが、事前に指導案を見て、(VBBに)書き込みをしてみて、やってみるのはとてもいい。」

   
2)  「プレゼン甲子園2004」<ICTプロジェクト>に参加して  林恵美子(プール学院高等学校)
 

「私は役員になっているが、メールもできないくらいパソコンが触れないんです。そんな私が何ができたのか、学んだことをお話します。」

「細かいことについては、私学ネットからアクセスできますので見てください」

「プレゼン甲子園というと、素晴らしいプレゼンをする学校が集まるように聞こえるがそうではありません。1年目は女の子が多く、2年目は男子参加も多かった。」

「時には生徒よりも教師の参加が多いときもあった。」

「教師も生徒もホームルームティーチャーの石部先生に当てられたらNOといえないというルールがあった。最初は負担だが、5回目ぐらいになるとそれが快感になってくる」

「特別な子たちを集めるのではなく、普通の子を伸ばしたい。むしろプレゼンが苦手な生徒を伸ばしたいと思う。」

「ドキドキからワクワクへという言葉があったが、最初はドキドキしている。だんだん場慣れをすることでワクワクへつながる。社会ではシビアであるが、教育現場では、自身と楽しさを持たせることが必要だと思う」

「ある先生は最初は大変気負っておられたが、最後には気負いもなくなってきた」

「ICTの目標について、今日生徒になにをするのかを先にいうか、最後にいうか。私は最後に言う派。しかしある先生から最近の子は先にいわないとだめだよと言われた。最低限の目標は最初にいう必要はあるかもしれない。」

「ICTのプレゼンテーションについては、画一的はいやだなと思っている、自分らしいプレゼンテーションができるようになってほしい。」

「となりの先生と目標が違ってもいいと思う。それぞれの学んだことを並べるとおもしろい」

「来年度に向けて、人が変わってもできることができればいいなと思う。目標を明確にして大きな流れを設定する。それぞれの取り組みで担当者の持ち味を生かした可能性を探ることもできるだろう。」

「来年度は自分の授業で生かすことを目標としたい。それぞれの先生がどういう風に生かしたかという情報共有が私学ネットのHPできればいいのではないか」


>石部先生
「私が言ったことはみんなにはNOとはいえないと言っていますが、私はいつも心の中でNOと言っています。すまんのぉって。」

「来年度の参加条件は、生徒3名程度と、先生1名。参加校は7〜8校で考えている。多いようであれば、抽選を考えている」

「最終的には先生のほうが多いと、生徒をダシにして、教師が学んでいる」

「毎回Vbbを使って、もちろん毎回懇親会も・・・」

   
3)  (財)CECの産業協力情報授業を実施して          米田謙三 (羽衣学園高等学校)
 

平成16年度


「産業協力情報授業」について

平成16年度の実践事例はここから


「昔100校プロジェクト、新100校プロジェクトがあったが、私は少し気になっていた」
「産業界も情報化に対応できる人材が欲しいと考えている。よく言われることは、産業界の方の中には、教師のことを社会人だと思っていない。教員は社会で何を求めているのかわかっているのか?といわれた。」
「産学連携がある。CGの授業だと、私たちだと限界があるが、産学連携だとかなり利点がある。授業によっては拍手喝采があった。最先端が経験できる。産業界の方に、先生って大変ですねって言われる。企業から先生への理解も深まる。」
「デメリットも正直にお話しましょう。手間はかかる。手間は先生たちに頑張ってもらって。生徒たちのために頑張って取り入れてもらいたいな。」
「モデルケースとして東京、大阪で行われた。今年度も募集したいと思う。またしてみたいという先生がありましたらお声をかけてもらいましたら。お知り合いの企業も紹介してもらえれば。」


3月4日(金)東京ファッションタウンビルで成果発表会がありました。

  その分科会Bで「情報」教育における産業界との協力授業の発表があり、
羽衣学園の米田先生がコメンテーターで、東京と大阪の取り組み発表が行われました。

 

   
   
4)  安全プロジェクトが My Town Map で外務大臣賞を受賞
 

「マイタウンマップで外務大臣賞という大きな賞をもらった。日米の高校生の安全に対する意識を比較したプロジェクト。非常に発想がユニークだということ、Vbbを使ったことが評価された。」


3月5日(土)日本科学未来館(東京)で第11回マイタウンマップコンクール表彰式が行われました。

審査講評
  この作品がユニークなのは、21世紀型犯罪社会を生き抜くスキルをつけるという観点と共に「バーチャル・ブレーンストーミング(VB)」というシステムを使って生徒の自主性とアイデアを引き出し、議論を深化させるという点です。更に、お互いが置かれた社会環境を理解した上で、言葉の壁を乗り越えてのホームステイや、現実の体験を通じて理解し合うことは、今後の国際交流の可能性という意味で価値ある試みだと思います。

表彰式会場 外務省の方から授与

プロジェクトを代表してプール学院高校の
小池先生と生徒さん、羽衣学園の米田先生が
受賞式に参加してくれました。
内閣総理大臣賞ももちろん素晴らしい作品でした
   
 ■ 尚,終了後には,恒例の親睦会(情報交換会)には、48名の参加があり、コミュニケーションの輪が広がりました。


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