第50回公開授業

グループプレゼンテーション

研究授業
意見交換会
平成19年2月16日(金)
羽衣学園高等学校

授業者:中川 綾子 ・ 米田 謙三(情報科)



■第50回 「情報」関連の授業公開キャラバンを迎えて

大阪信愛女学院短大 長尾 尚

「情報」関連の授業公開キャラバンが始まって5年半経過しました。その間50回(実は,番外編もあったのですが,)にも上る他校での授業を参観し,終了後には,自由に意見の交換を行い,更に懇親会でも学校や授業にまつわる情報交換を重ねてきました。参加者数は,延べ1200人を超えています。

 2003年の教科「情報」開始を控えて,2001年9月からこの企画に取り組み始めました。当初は,担当予定教員の授業に対する不安の解消につなげたいと考えていました。4年が経過した現在,過去の漠然とした不安感は,ある程度まで取り払えたと感じています。しかし情報科の設置目的である「情報活用の実践力を育てる」ような授業になっているのかという疑問は残ったままです。現在は,様々な教科でどのような授業改善が可能なのか,といったテーマに切り替わってきています。

 教育問題が国民的な課題として取り上げられていますが,教師の多忙化は,深刻です。多忙化しすぎて同僚の先生とゆっくり話ができない状態
は,どこの学校にもあてはまります。そんな中で,お互いに胸襟を開き授業実践への取組み方法や,新たな学校改革の手立てといったことに関する情報を共有・交換・創造することが,どうも教師の明日の元気につながっているようです。

 本来,校内でこのような授業研究が,継続的にしかも自由な雰囲気の中で実践できればよいのでしょうが,残念ながらそれが期待できないことは
現場の先生方であれば,おわかりだと思います。学校外だからこそ,フェアに意見を交換できる場ができあがっています。

 当初は,情報科の先生が中心でしたが,授業を情報「化」したい教師の参加が増えてきています。国語や社会,英語といった他教科での情報機器利用こそが求められており,それを実践していく過程で新しい授業観が育ってくるのではないかと感じています。

 50回を迎えた機会に,このインターネットやPC,ケータイに代表される知識基盤社会において,どのような学びが求められているのかを今一度
問い直す時期にきているようです。来年度も継続予定です。是非一度,ご参加頂き多様なネットワークを増やして下さい。ご参加をお待ちしております。


 
 研究授業  「グループプレゼンテーション」
 
授業風景
今回のキャラバンの内容は、「ICTプロジェクト」と関連させたグループプレゼンテーションを課している羽衣学園高校の授業を見せていただきました。テーマ決定から、スライド作成、発表まですべてグループで話し合い、相談して、決めてきたそうです。
一般的なプレゼンテーションの授業と言えば、プロジェクタで個人発表というのは定番ですが、今回は、プラズマ電子情報ボードを使っての発表でした。
米田先生
中川先生

 

【1】 最初は3名で「募金のルート」についてです。いろいろな募金がありますが、それらの募金はどのような経路をへて活用されているのかを調べて発表してくれました。スライドは、黒板とチョークをイメージして制作したそうで、緑の背景に白と黄色の文字をうまく使っていました。

発表が終わると、質問を受けます。
たくさんの質問が出て、とても活発に発表者と聞き手のやり取りが行われていました。

その後は、中川先生から良かった点や改良すべき箇所を丁寧に指導されていました。

 

【2】 テーマ「動物愛護」で、2人で交互に発表してくれました。強い主張で、伝えたいことがはっきりしていました。

伝えたいことを必ずしも言葉で言う必要はない、返って言わない方が
強く訴えることができることもある、ということを表現したかったプレゼ
ンでした。 

 

【3】 「たばこが与える影響」というテーマで2名での発表でした。先生へのインタビューや映像を上手に使って説明してくれました。

  中川先生からは、「たばこの銘柄ランキング」という内容があったが、
このテーマに果たして必要であったかな?と指摘されました。
また、どのように悪影響があるのか具体的な例も欲しかったとも・・・

 

【4】 3名で「カルチャーショック」というテーマでした。英語と日本で交互に発表し、スライドは英文でした。

 
留学中にたくさん感じたカルチャーショックのうち、お風呂の入り方という具体的な例を挙げ、自分たちが身をもって体験した文化の違いをまとめたということで、とても説得力がありました。

 

【5】「BLACK(黒人差別)」というテーマで、2人の発表でした。黒人差別の具体例を挙げ、「差別」と「区別」の違いをしっかり主張できていました。

先生からは、「差別」と「区別」を英語で言うとと、質問されました。
「Discrimination」 と 「Distinction」

5組の発表でしたが、どの組もしっかり堂々と発表してくれました。
 
意見交換会
  司会:長尾先生(大阪信愛女学院短大)

 

明日、三重県立桑名西高校で「第3回プレゼン定期戦大会」があり、そのプレゼン大会に参加する羽衣学園の発表を、今回見学に来ていただいた先生方に見ていただくことになりました。。大阪からは、「羽衣学園」と「大阪国際大和田高校」が参加します。

■プレゼンを見ての先生方のご意見
 
斉尾先生(清教学園): 演じる人の目線を決めておいたほうがいい。

長尾先生
(大阪信愛女学院短大): 一番言いたいことはどこですか、どうもどれも同じ流れでたんたんと過ぎていっていた。

小池先生(産業技術短大): 芝居が生きていない。芝居がプレゼンにつながっていないのでは。

松本先生(大阪学院大学高校): 罰金刑ではなく、体を動かせて働かせたり、法律を書き写させたりするのを少し強くアピールしたらいいのでは。

笹谷先生(相愛): 不良をどうこういうイメージで説明するのではなく、不良のこういう行為をやめてほしいということを主張したほうがいいのでは。

古川さん(北海道情報大学): 罰金を大金にしたらへるのではないでしょうか。飲酒運転もへりましたね。そこはどう思われますか。ゴミを拾う行為を誰が監視するのか。もう少し具体的な例を示したほうがいいのでは。

平田先生(京都女子高校): 寸劇(コント)があるのは、伝えたいことがよりうまく伝わるのでいい。一番伝えたいところでコントがなかったので、伝えたいところがうまく伝わらなかったのではないか。

司会の長尾先生

 

情報科主任の池田先生から羽衣学園の情報教育
についての説明をしていただきました。

   

中川先生(羽衣学園高校)
情報を11時間、家庭科を5時間担当しています。情報は、1年で2単位。2年は1単位G組とH組を担当しています。今回の授業のねらいは、指導案に書いています。

『高校生の情報化と国際化に対応できるコミュニケーション能力育成に関する実証研究』

近年その重要性と必要性が叫ばれるプレゼンテーションですが、教育現場ではコンピュータによる作成技能のの練習に焦点がおかれているようです。実社会でプレゼンテーションが効果を持つためには基礎となるコミュニケーション能力の開発が前提となることが見落とされがちなのではないでしょうか。この研究は、大阪私学教育情報化研究会でもICTプロジェクト企画として研究されています。本校でも、教科情報だけでなくいくつかの教科で、プレゼンに取り組ませています。今回は、中でも特に重要だと思われるグループでプレゼンすることにより、それぞれが、段階的に「考える、まとめる、話す、見せる、伝える」 などの技術を、練習していきます。

米田先生(羽衣学園高校):
ポイントはグループワークのプレゼン。1人では考えていることが限られてくるので、グループにしました。2人,3人,4人のグループにするのかどうかを相談。テーマ決定から発表でのしゃべりから、すべてそのグループで意見交換することを学ばせたい。プレゼンのしっぱなしではなく、終わってからコメント力をつけさせたい。相手のプレゼンに対してどのようなコメントを書くかをチェックしたい。


奥田先生(大阪国際大和田):
テーマはどのようにして?
 
中川先生:
去年はある程度決まった範囲からさせていたが、今年は、まったく自由にした。ただ、何を言いたいのかを対話指導をして、しっかり時間をとった。1,2時間テーマについて話し合った。
 
米田先生
1回は必ず、戻して、突き返した。「だんじり」とかが出たが、何を言いたいのかわからないので、突き返した。

中川先生:
何をいいたいのかどうかを、しっかり確認させた。何度も返して喧嘩しそうになった。

長尾先生:
黒人差別は何をいいたかったのでしょうか?

中川先生:
私にもわからなかった。あのテーマはなかなか決まらなかった。

斉尾先生:
共学では、男子が主になってテーマ決めはよく喧嘩をした。何か工夫されたことはありましたか?

中川先生:
女子は、以外にテーマは相談して決まることが多い。人数も2人か3人でと、相談させた。環境問題なら、こうなってこうなってとなるが、黒人問題で何を言いたかったのかは本人らもわからなかったのでは。

奥田先生:
「起承転結」の指導はしていますか?

中川先生:
去年の発表はインターネットから素材を取ってきて、派手ではあったが、何をいいたいのか分かりづらかった。

長尾先生:
プレゼンの授業で、こんなことをやっているといういいアイディアはありませんか?

西田先生(近大附属):
個人プレゼンをしている。座学で、「起承転結」を説明したが、生徒は「転」がうまく理解できていなくて、「起承結」となってしまう。

松本先生
「こうして僕らは全員内定」という本を読んで思ったのですが、「起承結」でいいのではないかと思う。女子は動物愛護のテーマが多い。ダイエット、国際問題、環境問題のテーマが多い。先ほどのプレゼンでは、「黒人差別」を伝えたかったのではなく、ただ「差別」を伝えたかったのでは。

笹谷先生
先に言いたいことのスライドを先に作らせる。表紙からやると、一番言いたいことをやるときに力が尽きてしまいます。手本を見せることも大切です。

古川さん
プレゼンは紙を見てやっては、いけない。姿勢が大事。人に聞いてもらっているのだという心構えを教える必要があるのではないか。技術力を重視するのではなく、コミュニケーション力を大事に指導すべきであると思う。

中川先生
発表を覚えさせるのは、ちょっと無理である。時間が足りない。10時間前後でやっているので。

長尾先生
発表時に、スクリーンの画面を使っていない。画面は発表者のメモであるということを意識させたらいいのではないか。

齋尾先生
生徒の意見を聞いた時、内容に関する質問とスライドや技術に関する質問を分けてやった方がいいのでは。私の経験から、そう感じています。

川口先生(堺女子高校):
よく内容が伝わって、アニメーションもあり、すばらしいプレゼンだったと思います。国際コースだから、英語の発音も上手だし・・・。

長尾先生
カルチャーの体験をしたのは、いいことだとほめてやってもよかったのでは。

奥田先生
質問コーナーで、あとで調べておきますとのコメントはいい。

平田先生
動物愛護は、言いたいことを画面に見せて何も言わなかったが、彼女らの言いたいことは伝わってきた。しかし、たばこも同じように最後を言わなかったが、フロアの雰囲気や様子は、全く違ってしまった。同じことをしても、ちがう受け止め方になるということを学んだのではないか。

笹谷先生
聞く生徒の姿勢がとてもよく、集中して聞いていた。ほめてやるコメントをしてやると生徒は、力になっていく。

楠浦先生(明浄学院):
私は、授業でほめまくります。以前はできなかったが、今回はできたねと褒めてやると生徒はやる気がわく。テーマがかぶったときはどうしどうしますか?

中川先生
あのグループも同じですよ、と言いそのままにしている。

長尾先生
おざなりなほめ方は、相手は分かっていると・・・・・男子の方がほめると単純。女子は、見抜く。

平田先生
1歩深く褒めてやらないと、見抜かれる。どこどこがすごいということをほめてやらないとだめ。いつもほめていると、わかってしまっている。

笹谷先生
プレゼンのときは、ここをほめてやろうと臨んでほめてやる。

斉尾先生
人間関係が不明なところで、グループワークをさせるときには注意が必要。

笹谷先生
担任とそのグループ関係の話をするようにしている。

西田先生
週1回の授業であるので、褒めることに成功しているので、今年はうまくいった。君はそういうことができるやんってほめてやる。

長尾先生
知らない時の方なら、それでいいのかも。毎日授業のある教科ではそうはいかないかも。

笹谷先生
第3者にほめてもらうと、生徒は非常に喜ぶ。情報の先生が○○と言っていたよ、とほめると効果的である。

平田先生
担任と教科担当とのバランスは大切で、担任はすべて知っているので、返って担任でない教師にいろいろ話すようになる場合もある。

長尾先生:
VBBを見て。何かご意見があれば。「生徒を学習の中心に、教師は支援」「グループで取り組む学習」「コミュニケーション力育成」「実践的な力の評価」「実践力の中身」

田中先生(上宮高校):
生徒が中心で。スキル中心ではなく、実習は自由な雰囲気でやっている。

斉尾先生
社会にはおたくといわれるよく知っている生徒がいるので、その生徒に発表させる。男子の場合は喜んでみんなに教えてやれる。教材提示装置を使って、提示して説明させると意外にクッションとなって発表してくれる。

長尾先生
グループワークでするか、個人でするか? コミュニケーション力をどうしてつけるか?

松本先生
授業で育てたいコミュニケーション力とは、社会が求めているのは、自分たちの土俵とちがう人とのコミュニケーションがとれるかどうかであって、友人とのコミュニケーション力はコミュニケーション力ではないのでは。

村上さん(中学3年生):
友人とはよくちゃべれるが、仲が良くない人とはまったくしゃべれないし、しゃべらない。ドミニカは、午後英語の学校へ行って、地元の人としゃべっていた。仲良くなった人もいますが、コミュニケーションがうまくとれなかた。うまく言語が伝わらなかったので、もういいかと思ってしまう。日本の音楽を聞かせたが、ふーんという感じで興味なさそうだった。向こうの音楽は、いつも踊っている感じの音楽だった。ハローウィンには、日本人の家でも子供たちはたくさん来た。母は、たくさんの友人ができて楽しそうだ。

斉尾先生
生徒からコミュニケーション力について教えてもらったことがある。地歴部の顧問をしていた時、学校の国際交流をしている国の生徒に、日本のプレゼンテーションをする機会があり、おとなしい生徒が全校生徒の前で、しっかり発表できた。持っている力を出させる自立させる機会を持たせられていい体験をした。

岡田さん(ウチダシステム):
人とは理解されて初めて前進する。人は教えられた通りにするのは、きらいで、自分で

西田先生
趣味の合わない人とは拒絶し、あう人とはすごく交流をする。

笹尾先生
複数の人格を持っているのでしょうね。

長尾先生
人格も多様化なのでしょうか?

米田先生
コミュニケーションとは、しゃべることだけではない。相手のことをどう考えるか、相手のことをどう思ってやるかがコミュニケーションだと思っている。別に発表しなくても、私は聞く方が得意であってもいいのではないかと考えている。企業の方のプレゼンもいろいろあり、異なっている。「あるある大辞典」などコミュニケーションによって躍らさせる場合もある。

赤沢さん(日本文教出版):
この場はまさしくコミュニケーション力を必要として、すごいなと感じている。今日のプレゼンで何がいいたいのかを評価することになっているが、そんなこと評価できるのかと感じた。

長尾先生
評価をして、その評価を生徒が受け止めているかどうかを文章にさせ、それを評価することもあるわけですね。

米田先生
いやでもやらなければならないこともあるので、そのまんま東氏も、すべてをきちんと伝えたいので、原稿を読んだ。それはそれでいいのである。原稿を読んでは駄目というものではない。

奥田先生
先生方は、生徒にいろいろな経験をさせる土壌をもっているので、生徒は経験や体験を経て成長する。

top   back