第30回公開授業
 高校1年情報A メールの基本
高校2年情報A 職業調べ


研究授業
意見交換会  
Virtual Brain-Storming Boards
(通称 VBB)

  ここから入れます。
平成17年1月28日(金) 6限,7限
京都橘高等学校

授業者 長谷川 卓也先生(情報)



研究授業

 6限 「電子メールによる情報の受信・発信
」(高校1年)

 7限 「職業を調べよう」(高校2年)

 

 今回の公開授業は第30回という区切りのキャラバンで、京都伏見区桃山町にある「京都橘高等学校」に行ってきました。とても環境の良いところで、施設も素晴らしいという印象でした。京都では2回目ですが、京都の学校は高台にあり、見晴らしが素晴らしいです。生徒さんらも元気で礼儀正しく、あちこちで挨拶をしてくれました。

学校の環境・施設紹介のページ

 今日の授業は、6限目に高校1年生の「メール」、7限目はオーストラリアへの1年間留学から帰国したばかりの高校2年生の「職業調べ」授業を見学させていただきました。京都橘高校では、情報Aは高1で1単位、高2で1単位の分割履修をされたいます。

 
6限 授業風景
 メールの授業は、全3時間で指導されています。今回の授業は、2時間目で、「電子メールの内容」「電子メールのマナー」「外部の高校生とメール」(実習)という内容でした。

第1時間目の目標
@電子メールのしくみの概要を理解する。
A電子メールの作成と送受信ができる。


第2時間目の目標
@コミュニケーションに配慮したメールの送信ができる。
A電子メールの機能を理解し利用できる。

第3時間目の目標
@情報化社会の諸問題について理解し、適切なメール操作ができる。
A状況に応じて適切なコミュニケーションができる。
 ← 広いコンピュータ教室
プロジェクタとスクリーンが2面 → 
 ← まず、「あて先」についての説明をスクリーンで行います。
    続いて、「見出し」「署名」「本文」の説明。

見学に来られた皆さんも、長谷川先生のプレゼンに注目 → 

 

 

説明のポイントを、プリントに書き込みます。 ↓  

説明後、先生から各生徒に、良い例と悪い例のメールを送信 →
悪い例のメールで、どこが問題かを確認 → 
 ← 最後は、メールの実習です。

三重県の暁高校の高校生にメールを送ります。

以前、長谷川先生が研修に行かれたとき、暁高校の先生と親しくなり、メールのやり取りをする授業をやろうという話がまとまったそうです。
 ← 次回、暁高校から返信が来るのが楽しみです。生徒たちはとても気さくで、長谷川先生とのコミュニケーションもうまくいっているのが分かりました。
 
7限 授業風景


 7限の授業は、昨年末にオーストラリアに1年間留学していた国際コース(2年生)のクラスで、自分のなりたい職業をしらべ、なぜその職業につきたいのか保護者や担任の先生・進路担当の先生に納得していただくプレゼンを行うという内容で、その3回目の授業を公開していただきました。

  1回目は、プレゼンとは何かの説明
  2回目は、Microsoft Power Point の説明と、「なりたい職業」は何かを考え、今日までにそれを提出
 今日、3回目は、提出した全員の職業の紹介とWebでの資料集めでした。

← この「みんなの職業一覧」で、一人ずつの職業についてコメントを入れられました。これがなかなかの突っ込みで・・・
生徒からは、進路指導かいなとの声も・・・
 「説得力のあるプレゼンが出来るように!」と、  
こんなスライドが登場。生徒らはこの顔写真に爆笑!(^o^) 
どうしてかな?
  → 
 ← いよいよ、Webでの資料探し。そのデータを配布されたプリントに書き込んでいきます。
 
意見交換会

▲16:25〜18:00   司 会: 長尾先生(大阪信愛女学院短大)

 重役会議を行うのではと思われるような立派な会議室をお借りして、意見交換会を行いました。



「新・京都橘宣言」を掲げて「自立・共生」の教育を目指す
木内 正廣校長先生


長尾先生:
 意見交換会を始める前に木内校長先生からご挨拶を頂きます。

木内校長先生: 入学願書受付で各校お忙しい中、本校に来ていただきありがとうございました。本日授業を見ていただき、元気な生徒たちでヒヤヒヤしましたが、情報の授業に役立てていただければ担当校としてはありがたいです。

長尾先生: 2クラス見学させていただきましたが、校風として、明るく素直だと実感しましたね。では、当研究会の会長に挨拶をしていただきます。

奥田先生: 出願で忙しい中、大阪の者が京都におじゃましましたが、教育内容を充実するという意味で授業向上を目指してキャラバンを実施しています。今回で30回となりました。この研究会はオープンですので、今後大阪の方へもお越し下さい。

長尾先生: 素晴らしい会場で、今までとはちがう雰囲気ですね。今回初めて参加された方をご紹介します。

龍野先生(甲南女子高校) 平成17年度から情報Aを始めます。その参考になればと思って参加しました。以前にこの研究会のインテル講習に参加させていただきました。

石丸さん(滋賀大学大学院) 先輩がこちらの学校に勤めておられる関係で参加しました。数学と情報の免許を取得しています。情報の授業は初めて見ました。

穴田先生(東京の明星高校) 京都女子高校の成瀬先生の友人で、東京から来ました。来年度から1,3年で情報Aを導入しますが、どのようにしてやろうか迷っています。いろいろ参考にさせて頂きたいです。

長尾先生: では、授業者の長谷川先生に、今回の授業についてお話していただきます。

長谷川先生: 6限目は1年生の授業でした。このクラスはとても元気で、いつも楽しく授業をさせてもらっています。メールの授業では今まで生徒と先生のメールのやり取りをしていましたが、現実感がないので、研修で知り合った三重の暁高校の先生の教えているクラスの生徒とメールの交換をすることにしました。メールの授業は3時間と決めていたので、どのような内容にすればよいかと迷いました。VBBにも書いてあります。来週は、メールによる被害(ウイルスやスパム)とその対策について説明します。『文字表現』に関する部分をもう少し踏み込んでやってみたかったが、時間的に難しいです。公開授業でしたが、普通のメールの授業で、何も新しい取り組みをやってないです。
  7限のプレゼンも公開しましたが、これと言って特別変わった内容ではありませんでした。ポイントは、職業の進路とからませているというところです。普段は、助手の人がいますが、今日は、願書受付で抜けたので一人でした。

長尾先生: メールの授業をやっている他の学校はどのような内容ですか?

穴田先生: 他校とのメールのやり取りは実践的で、マナーも教えられいいと思う。本校でもやりたい。

津田先生(大阪薫英女学院高校) 2時間くらいで完結しています。OE(Outlook Express)とWebメールを紹介し、アンケートの回答をメールで返信させる実習をしています。

成瀬先生(京都女子高校) 1,2時間で終わっています。オーストラリアの学校とやりとりを試みたがダメでした。1対1で向こうの1人が休んでいたら、返信がないのでつらいものがあります。今日はうまくカバーしていたと思います。メーリングリストでやってもいいのではないでしょうか。

長尾先生: メールの時、交流を入れるのはどうでしょうか。

平田先生(京都女子大学・高校) 自分自身は大学生とメールのやり取りはやっています。レポートもメールで提出。携帯電話に慣れているので、マナーやルールはなっていない状態です。これを教えることは重要だと考えます。

長尾先生: 携帯メールの感覚で、パソコンの電子メールを使っていますが、違いを意識させるべきでしょうか?

長谷川先生: 生徒には学校ドメイン(@tachibana-hs.jp)を使っていることを意識させ、責任感を持ってメールの送受信を行うように指導しています。

長尾先生: 携帯メールはおしゃべりの延長、PCメールは手紙の延長の違いがあるのではないでしょうか。どうやって区別をつければいいのでしょうか?

市川先生(大阪信愛女学院短大) 学生は携帯もPCも意識していないですね。違いはないようです。相手を意識しているだけで、相手によって変えているようです。実践例として、(1)件名が空の画像を見せる。(2)上手に(内容や書き方)書いてあるメールを紹介する。それらを見せてから、生徒に聞く。件名を入れるかどうかはそれから、考えさせるようにしています。

長谷川先生: 生徒は抽象的では分からないですね。具体的に例示した方が理解できますよね。

長尾先生: 大阪信愛女学院も暁高校とTV会議を学年を超えてやっています。長谷川先生、暁とのメール交流はこれからどうなっていくのですか?

長谷川先生: メールをテーマとした授業はこの3回で終わりますが、3学期は暁高校とのメール交換を続けていきたいです。タイピングの練習にもなるので・・・。向こうは5クラスで1クラス30名。こちらはもっと人数が多いので1対2でやっています。

龍野先生: 外国の学校とと環境会議をやる予定です。メールはよく使われるので是非やっておきたいと考えています。インターネットを導入して3年、メールサーバーを学内に入れたいのですが、業者が教えてくれない状況です。

長尾先生: 外国との交流には意外とOKが出ますね。近所の学校とのメール交流は、会いに行くと困るので反対も多いのでは・・・。今日の授業で、もう少し突っ込んで情報倫理とからませたらよかったのでは?

奥田先生: 中学ではもっとすごい内容のメールをやり取りしていますよ。その現実を知らないといけないと思います。携帯を見つけたら契約の取り消しをしていますが、そんなことやっても意味がないと思います。もっと教えないとダメではないでしょうか。形式的なものではダメで、今後もっと踏み込んで指導すべきだと感じます。現実的な場面を設定し指導しないとね・・・。

市川先生: メールの指導をこの時期にやっているのは、何か理由があるのですか?

長谷川先生: 1学期はWord ・・・と当てはめると、メールはこの時期になったのです。

津田先生: 評価はどうしていますか?

長谷川先生: 年間1回のペーパーテストを実施。課題とプリント提出で評価しています。例えば、3学期は同じ学年で8時間あるクラスと5時間しかないクラスがあり、少ないクラスにあわせています。授業時間が少ないのでテストが作りにくいです。態度も評価に入れています。

長尾先生: 中学でのメール指導をしっかりやってなくて、大変になった事例は多くありますね。上宮と大阪薫英との交流は難しいでしょうか?

龍野先生: 相手校があり、課題があればいいですが、何もない時はどんな内容を送信しているのか興味あります。高校生の交流には課題が必要だと思います。

長尾先生: どんなメールを打っていますか?

長谷川先生: 携帯メールの感覚で一行メールが多いです。暁高校との交流のでも、礼儀やマナーをあまり意識せず、友達感覚でメールを書いている生徒が多いです。

龍野先生: 学年の掲示板を作ったら、書き込みがひどかったことがあります。掲示板は恐ろしいという印象です。教員が知らないだけで生徒らは何も分からず個人情報を書き込んでいます。

奥田先生: 従来の生徒指導の形態では指導できないですね。

龍野先生: 今日のメールの授業で、もっと突っ込んで情報倫理を教えないといけないのではないでしょうか?高校生よりも中学生の方が分かっていないですね。

長谷川先生: メールの授業では情報倫理はあまりやっていませんが、メールをやる前にはやっています。情報倫理の指導は、「T字型指導」が必要だと思います。(T字型指導:最初に時間をさいて指導し、その後は折を見てずっと長く続けていく指導)

小林先生(清教学園) CMC(Computer Media Comunication (コンピュータに媒介されたコミュニケーション))空間を学校は逃げています。モラルは一つ。つまり、情報上のモラルも普通生活上のモラルも同じだと思います。対面のコミュニケーションでは、嫌われたくないので対面で喧嘩しないでCMCで発散している状況です。生徒への匿名の書き込みで不登校になった場合もあります。

奥田先生: ITによって倫理観が変わってきていますね。大人でも匿名で告発・タレこみが増えてきていますし。

長尾先生: 各学校では掲示板「2ちゃんねる」をチェックしていますか?

津田先生: 生徒指導の先生がやっています。

小林先生: 本校では、かなりの書込みでブームになりましたが、全校集会で生徒らに訴えかけると収束しました。

平田先生: 中学1年で掲示板での問題が起こり、各学校でのトラブルを紹介して話し合いをしました。

長尾先生: パソコンでのメールは何故教える必要があるのでしょうか?

奥田先生: 仕事としてとらえると教える必要があると思います。情報の授業でのみ教えるものではないでしょう。長谷川先生の7限の授業での生徒の仕事への突っ込みとそのコメントは、コミュニケーションの原点で、生徒らを本気にさせたのではないでしょうか。メールでも掲示板でも、「いい面を教える」ということは大切ですね。生徒指導の原則は、”ほめること”ですから。

長谷川先生: 親に反対されても、この仕事につきたいと説得できるようなプレゼンテーションをと言っています。親が1年間留学させてくれたのだから・・・・

津田先生: このプレゼンテーションの授業はどう続きますか?

長谷川先生: 全員に発表してもらいますが、やる気のある生徒から発表しなさい、とする予定です。

龍野先生: 職業の提示はどのようにされたのですか?

長谷川先生: 宿題として、生徒が考えてきました。「13才からのハローワーク」という本が教室に置いてあるので、それを参考にしたと思います。

市村さん(内田洋行) うちの会社が暁高校にシステムを入れました。こういう形でつながりがあり、うれしくまた不思議に思います。ワールドユースの国際交流ではメール主体で交流しています。メーリングリストの方がいろいろ指導しやすいと思います。先生や他の人も見ているという意識がありますので。メールのフィルタリング(危険な言葉などをはじくソフト)を導入しているところも多いです。学級連絡網にメーリングリストを使っている実践例もあります。

このように、意見交換会はいつものように6時を過ぎても続きました。その後は、「懇親会」でということになり、長谷川先生の紹介で、作り酒屋の酒蔵のしゃれた店で、全員の方々が9時過ぎまで議論のつづきを・・・・

   


   


 

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