第29回公開授業
 高校3年 コミュニケーションデザイン

「Flashを使ってマルチメディアを学ぶ」
研究授業
意見交換会 評価表 
Virtual Brain-Storming Boards
(通称 VBB)

  ここから入れます。
平成16年12月3日(金) 6限
精華高等学校

授業者 村上 徹先生、村嶋節子先生(情報)



研究授業

  コミュニケーションデザイン
(学校設定科目) 「Flashを使ってマルチメディアを学ぶ」

 今回の公開授業は、第12回キャラバン(3D画像)を行っていただきました村上先生に、その次の段階としての授業内容を公開していただきました。

 このクラスは、情報国際コース(3年1組)で、教科は学校設定科目の「コミュニケーションデザイン」でした。4月〜5月に2次元画像(ペイントソフト)、6月〜9月に3次元画像を学習し、後期に入って、動画像の仕組みとその有効性について理解を深める、というような年間授業計画で展開しておられます。

第1時間 Flashでの絵の書き方について。動画像と言っても基本は2次元画像を元にモーションをつけるので、まずは絵を書かなければいけない。Flashのばあい、前期に学んだペイント系ではなくドロー系であるので、その違いに触れる。

第2時間 画像をレイヤーに配分し、タイムランのキーフレームに指示を与えることによって、中間画像をコンピュータが作成する。その仕組みに触れる。(作品例1)

第3時間 アニメーションの始点と終点の指定の工夫(動くオブジェクトの拡大縮小・回転)。中間画像の自由曲線に沿った動き(ガイドレイヤー)の作成。(作品例2)

第4時間 レイヤーを分けて、さまざまな動きをそれぞれのレイヤーにあるオブジェクトに与えることによる視覚効果の学習。(作品例3)

 
授業風景
 今日の授業の目標は、村上先生が作成された次の5つの絵コンテ
1)故郷
2)目標
3)協力
4)Love makes Peaples heart warm
5)Save the Earth
 を元にして、相手にその思いが伝わる映像を作成します。

  前回までの授業では、ソフトウェアの使い方(動画像の使いかた)を重点的に学習してあるので、絵コンテから画像を作成するという、産業界の基本的制作ラインに乗った学習を試みておられました。つまり、締め切り時間を設定し、それまでに、指定されたフォルダに指定された形式で保存して完成するというものです。

提出締め切り時間になりました。生徒らは、時計を見ながらの悪戦苦闘でした。

つづいて、それらの作品は指定されたフォルダに指定されたファイル名で保存するように指示されていますので、学内ネットワーク(校内Web2004)を起動するだけで、今完成した作品を一覧することが出来るようになっていました。

そして、その一覧で他の生徒の作品をみて、自分が一番いいと思う作品番号とどこが良かったかを評価表に記入します。生徒数人にその評価を発表してもらいました。
 最後は、きちっと挨拶をして終わりました。
 
「校内Web2004」 の紹介

校内Web2004 には、1学期からの全員の作品が一覧できるようになっていました。今までの作品を一部ご紹介します。
 
意見交換会

▲16:00〜17:30   司 会: 長尾先生(大阪信愛女学院短大)    記録: 池田先生(上宮高校)

長尾先生: 意見交換会を始める前に中川教頭先生からご挨拶を頂きます。

中川先生: 遠くまでお運び頂きありがとうございます。本校も国際情報コースとして新しい取り組みを行っていますので、今後ともよろしくお願いします。

長尾先生: 今日の授業者の村上先生から今日の授業の概要と補足をお願います。

村上先生: Flashの使い方を見ていただいても‥と思いました。Flashを使って高校での授業らしさを見てもらいたかった。作ってその先にあるもの、相互評価して生徒がディスカッションするまでいきたかったが、今回はそこまで出来なかったことが今日の反省です。絵コンテを見て動画を作ることを生徒に学んで欲しかった。1時間では無理なので2時間にしました。絵コンテの中身は前回見せ、誰が、どれを作るかを決めていましたが、制作に時間がかかってしまった。
 


長尾先生: 絵コンテを使ったのはどうしてですか?

村上先生: 絵コンテはこちらで用意しました。何もない状態から作らせると時間がかかります。昨年は絵コンテも生徒に描かせましたが、生徒には絵コンテと言うイメージがないようです。次は注文されたシチュエーションから絵コンテを作って制作させることが次の課題です。卒業作品は絵コンテから書かせてみたい。

長尾先生: 絵コンテは生徒が描いたのですか?4つの絵の雰囲気がそれぞれ異なるようなきがしましたが、この絵コンテには何か意味がありますか?

村上先生: この科目を担当している4人の教師で考えました。4つのシーンを考えてもらいました。1人で考えるよりみんなで考えた方が内容が広がっておもしろい。

長尾先生: 生徒はどの絵を使うかをどうやって決めたのですか?

村上先生: 希望制です。各6人で多くなれば抽選で譲りあっています。

長尾先生: 絵コンテ通りに作らなくてはいけないのですか、イメージ通りでいいのですか?

村上先生: 個性を出して欲しかったので、これをイメージして作らせました。絵の苦手な生徒はパーツを使って制作させました。絵を上手く書くことが評価ではなく、どのように表現するかを評価したかった。

長尾先生: パーツを使うと評価に影響されませんか?

村上先生: 生徒は絵を描くのが上手くて、実はパーツを使う生徒はほとんどいません。
   


長尾先生: 今回の授業を見られてどのように感じられましたか?

松本先生(大阪学院大学高校) 生徒の作品をすぐに生徒同士が見られるのがいいです。互いに評価できて共有できるのがいいです。本校でも来年度から新しいコースが出来るので非常に参考になった。

長尾先生: それは情報科ですか?

松本先生: 来年度から情報デザインコースができます。

長尾先生: 生徒が互いに見られるシステムはどのようになっているのですか?

村上先生: Webサーバー上で管理しています。

糸川先生(帝塚山学院泉ヶ丘高校) 今までやったことはないが、生徒が面白そうにやっているのでやってみたい。今まではエクセルが多かった。

長尾先生: 生徒にどういうところをわかってもらいたいですか?

糸川先生: とにかく楽しそう。自分の感性を大事にさせてやりたい。車の色は赤がいい、青がいいかなど決められるのがいいですね。

成瀬先生(京都女子高校) 前から興味があり、以前、村上先生と講習会に行ったことがある。動きがあるのはこの教科の特色である。

長尾先生: 以前、津田先生もアニメーションをやったことがありますね。

成瀬先生: Flashはドロー系ですか?

村上先生: Flashはベクター形式です。

池田先生(上宮高校) 成瀬先生のおっしゃるように生徒は自分で作ったものが動くのは喜びます。私も1学期にドーガを使って授業をしましたが、生徒は夢中になって制作していました。操作方法もあまり説明しなくてもゲーム感覚で操作方法を身につけていった。

長尾先生: アニメーションは情報科のどの単元になりますか?

池田先生: マルチメディアの制作実習です。ドーガで生徒は宇宙船を作ったが、私にはアニメやCGのイメージがないので夏休みにスターウォーズを見てイメージを持とうとしたら、生徒が作った宇宙船はそこに出てくるのと同じであった。

長尾先生: アニメーションに関心はありますか?

小林先生(清教学園) 関心は大いにあります。作品の共有が出来ているのがいいです。

糸川先生: 外からでも作品を見られますか?

村上先生: 外からは見られません。イントラネット上だけです。

長尾先生: 若い田中先生の感想はどうですか?

田中先生(上宮高校) 卒業作品の今後のスケジュールはどうなっていますか?

村上先生: 4、5回授業の予定をしています。絵コンテは宿題として制作を学校で行います。絵コンテの使い方や、写真などの使用など、昨年は交通事故をしたので知らないのです。

村嶋先生: 昨年は特に決めていませんでした。写真を持ってきたり、キャラクターを作ったりしている生徒もいました。

村上先生: Flashの使い方の授業にしたくないのですが、実際には使い方の説明もしています。

長尾先生: 事前に描いて頂いたVBBにはC「情報の授業に動画像の実習を取り入れる意義について、お書きください。 」というところには、「現在、我々が扱い得るデジタル形式の中で最も リアル であり、TV等で日常的に親しみもあります。つまり、とても自然な材料だと思います。」、 「ただ、扱う際に要する機材が他のデータフォーマットに比して高価であることなどの理由で、二の足を踏むケースが多いのではないかと…。」、 「動画は,静止画,音声,文字情報などを総合的に絡み合わせて作成することができますので,ほんの少し何か(たとえば音やテロップ)などが違っているだけで与える印象が違ってきたりします。そうしたところでメディアリテラシーなどへも発展させられる可能性を秘めていると思います。すごく繊細で難しいし,エネルギーの要る題材だと思いますが・・・。」、 「動画の場合には,写真などと違って,多様な情報を載せられるということが理解できれば十分だと思います。」 などの意見があります。

長尾先生: 森本先生、この授業の意義をどうかんじられますか?

森本先生(堺女子高校) 費用を考えて今までは動画を考えなかったが、色をつけ動くなどがいいですね。

今井先生(明浄学院高校) イージートーンで動画をやった。動くということでメッセージがある。動画は発展すれば映画になる。僕の授業で大切なことは相互評価と自己評価です。作品を作った後、コンテストをして評価させる。その後、自分の作品を自己評価して振り返るようにしている。

長尾先生: 評価の観点はブラックボックスですか?

今井先生: ポスターでの観点も絞ったが、他の面から見ている生徒もいた。

長尾先生: 動画をさせる意義はどこにありますか?

松本先生: 作らせる側の視点を持たせることがいい。スターウォーズは初めて映像として、宇宙空間に惑星の下に地球を描いたもので、表現の学習にもなる。ニュース素材を使うのもいいです。ビデオニュースを作るのは短大でもよくやっています。パワーポイントでもできます。

村上先生: Flashをやればやるほどパワーポイントでもできると思ってしまう。Flashにしかできないことをと思うが、パワーポイントもバージョンアップすれば出来るようになってきます。この授業の前に視覚効果の授業をしています。その授業のことを覚えていれば後ろにある木をゆっくり動かし、前の車を早く動かせば遠近感を持たすことが出来たのですが、そのようにしていた生徒はいなかった。

長尾先生: 松本先生の言うように作り手として気持ちは作ってみないとわからないですね。

青木さん(三谷商事) よい点と悪い点があるなと思った。悪い点は表現したいと思っても、ソフトの使い方がわからないと出来ないのではないか。情報発信としては、ファイルサーバーに置くことはいいのか、仕組み自体がわかっているのか、わかっていなければ生徒のためになっていない。良い点はプレゼンのはばが広がる。例えば大学の先生は角膜を剥ぐ様な絵を使って講義している。態度を教えるにはおもしろくなくてはならないが、手段を教えるにはおもしろくない。

長尾先生: 情報発信を教えるのはまた別の機会であると思います。Flashのここだけはわかってもらわなくてはならない点はなどありますか?

村上先生: 時間の流れに沿って動くという点です。

辰巳さん(Muitimedia Educational Forum) 専門学校で1年のときにFlashをやった、授業の2割程度でした。カリキュラムとしてはこちらと同じようであった。非常に高度なことをやっていると思った。Flashは動画だけでなく静止画もできるし、プログラムも入っているので、これからも広がるし、将来役に立ちます。人材育成にもなります。

市村さん(内田洋行) 興味を持ってみさせて頂きました。メディアというものが色々あるということを知らされておもしろかった。ここまでのカリキュラムでのFlashのあり方に興味があります。

池田さん(パナソニック) 遅れてきたので授業を見ていないが、意見交換会での評価の仕方に興味があります。

長尾先生: 評価の基準はありますか?

村上先生: 1回目の授業はレイヤーを使っているか、提出期限を守っているかなどですが、主観も入ってきます。

長尾先生: 主観的なっていますか?

村上先生: たくさんの提出物を見ていると、評価の条件が少なくなってきます。複数の教員でみれば平均されます。

長尾先生: グループでやらせてよい方法はありますか?

今井先生: VBBのE「今回の実習をするにあたり,グループで制作も考えましたが,グループにしたときの評価方法など,留意点はあるでしょうか。」に書いたのですが、1の「グループ内でどのように仕事を分担したのかを尋ねてみるのはどうですか?適材適所ができていれば,すごいと思うのですがどうでしょう。」があります。

成瀬先生: MLを使ってクラスを超えたグループを作ってみたい。誰とグループなのかわからないようにしてみたい。

青木さん: マネージメントが必要なので1時間では難しい。

長尾先生: 個人で作ってグループで合わせて1つの作品を作るのはどうでしょう?ストーリーをみんなで考えて。

村上先生: アニメーションでは、シナリオ、絵コンテ、シノップスが必要でそれを基に作っていきます。一人一人が映画監督の設定でしたのでCMのように作らせました。

長尾先生: 最初にFlashの作品を鑑賞させてから作らせてはどうでしょうか?

村上先生: していませんでした。今言われてそういうこともあるなと思いました。

長尾先生: 自分がわかっていないと授業ができない人とそうでない人もいますね。

小林先生: 基本的はどのソフトも極めたことはありません。高校生でこれぐらいは出来て欲しいと思う面は出来るが、それ以上は調べる動機付けになればいいと思います。教師としてはそれでいいと思います。

池田先生: 情報を教えるようになってから、こちらの知らないことを生徒が知っていることなどから生徒の関わりが変わってきた。生徒と壁が低くなってきたような気がする。

成瀬先生: 私は単位数が減って生徒との関わりが少なくなってきた。

今井先生: イージートーンをやっていた、右クリックしていたらこんなことが出来るなど生徒に教えてもらったことがたくさんある。

成瀬先生: アプリケーションは1人でやるより40人の手でやったほうがいいです。

長尾先生: 色々なお話が出来ましたが、締めくくりとして村上先生から感想を。

村上先生: 今日はありがとうございました。貴重な意見をお聞かせ頂きました。今後取り入れていきたいと思います。

長尾先生: 次回は1月28日京都橘高校で行います。

 

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