第27回公開授業
 中学3年 英語
「VBB使って一つの作品をクラス全員で英語翻訳」
研究授業  
意見交換会  
平成16年7月2日(金) 6限
大阪信愛女学院中等部

授業者 原 真巳先生(英語) ・ 久家憲彦先生(情報)



研究授業

  英語 「VBB使って一つの作品をクラス全員で英語翻訳


(PDFファイル) 
   
 

 今回のキャラバンは、久しぶりに中学校、しかも教科は英語で、いろいろな見せ場がありました。特に、担当の原先生が目指したものは、中学生の英語翻訳(英作文)の能力を身につけるという事だけではなく、一つの作品をクラス全員で英語翻訳することによって、クラスの和の実現を目指すというものでした。

英作文の授業は、50分の中であまりたくさんの活動ができないという状況です。また、当たる人と当たらない人とでは授業内での活動にかなりの差ができてしまいます。そこで、VBBを活用することによって、クラスの全員が常に活動しているという状況を作り出したのです。

 しかも、最後の演出が素晴らしい。2人1組で考えた1つの英作文が、あっという間に一つの物語になるというものでした。これは、デジタルならではの効果です。

授業風景
まず、起立して最初の挨拶です。

原先生から、今日の授業の説明
久家先生からVBBへのログイン方法の説明

2人で1台のPCを使います。
VBBにうまくログインできました

原先生からVBBへの書き込みについて説明
← VBBは2ページあって、まずは、単語や連語を英訳します。

【ページA】
「多分」、「アパート」、「犬を飼う」、「ある日」、「ペットショップ」、「かわいがる」、「BよりAが好きだ」、「一緒に寝る」

【ページB】
「Aを待つ」、「紙のボール」、「Aをつかまえる」、「なんて素晴らしいAだ」、「その夜」、「翌日」、「学校が終わる」、「続けて言う」

1つの項目について、いろいろな単語や表現の仕方があるので、他の人が書き込んだものが即座に見えるのはいいですね。

参加された先生方は熱心に生徒の書き込みを見学されていました。
特に、今回参加された方は英語科の先生が多かったので、
まだVBBをご存じなくて、かなり興味を持たれたようでした。


入力はかなり手慣れた印象を持ちました。


生徒らの真剣な表情が印象的です。

みんな、辞書を引くのも速いです。もっと違う表し方が・・・

上宮太子高の山原先生(英語)の指導も・・・

今度は、単語・連語を書き込んだVBBを参考にして、もう一方のパソコンでエクセルを開き、
与えられた日本文を英語翻訳をします。
文1:マイクは犬が欲しかったが、アパートに住んでいたので犬を飼うことが出来なかった。
文2:ある日、マイクの父は「マイク、あなたはペットが欲しいんだろ?猫を買いましょうか。」と言った。



など、15文を各チーム(2人1組)に英語翻訳させます。



各チームで1文英語翻訳を完成させると、
いよいよ仕掛けの始まりです。

久家先生のPC操作により、
各チームの英文がエクセルのシート上で
見る見るうちに、1つの「My Pet」という英文
のストーリーになったのです。





その英文をプリントして、確認させます。


最後に、原先生から全員の協力の下、
一つの英語の文章が完成しました。
これからも、クラス全員力を併せて
頑張れば、大きな成果が得られるよ、と
締めくくられました。

意見交換会風景
司会: 長尾先生(大阪信愛女学院短大)
飯田(四條畷学園高等学校)

中等部松田教頭先生:
英語の授業もPCを使うと楽しんで授業ができるのが分かりました。私の参考にもなりました。有意義な意見交換会になりますように。

長尾先生:
今日は、英語科の先生方が多いですね。

松林先生(長尾谷高校 教頭:英語)
アデレートの姉妹校との交流、e−ラーニングなどをやっているので、参考のために参加しました。
石部先生(大阪信愛高):
今回のVBBを使った英作の授業を原先生にアドバイスしました。
英作の授業は50分で少ししかできない。また、やる生徒とやらない生徒との差が激しい。それを解消するために、全員が協力して一つの文を英作させました。VBBで英作・和訳をさせると、ダウンタイム(生徒が何もしない時間)が少なくなる。ただ、たくさん書き込みが出た時、収束させる(それらをまとめる)確認が必要。

先生:
VBBとエクセルでクラスの和(学校方針)を求めました。

久家先生:
中学2年の技術家庭でエクセルをかなりやった。生徒も慣れているので、明浄学院の今井先生のキャラバンを参考にさせてもらった。
長尾先生:
英語の先生で、何かあれば・・・

米田先生(羽衣学園):
英作・リスニングでVBBを使っている。PC教室をよく使う。VBBは即時性で有効です。欠点は中間段階での振り返りができないこと。黒板なら文字が残りますから。

山原先生(上宮太子):
学校方針のクラスの和を求めたというのは伝統的でいいですね。「犬を飼う」にもいろいろ表現があります。それをみんなで共有できるVBBはいいですね。5文型にも応用していけるのではないでしょうか。リスニングにも使えます。羽衣さんの実践はいいですね。

伊地智先生(明浄学院):
VBBで間違っているところはどう訂正するのでしょうか?文にするときには直っている所もありましたが。また、音読はどこでやるのでしょうか?
長尾先生:
今回は2つのポイントがありました。
1)普通の授業より早く進むことができる。
2)普通の授業ではできない事ができる。
今日の授業ではどうでしたか?

伊地智先生:
確かに、今日の授業内容を普通教室でやれば、もっと時間がかかるでしょう。l

石部先生:
・最後の各班の文を1つのストーリーにつなげられたのはPCだからできた。
・ダウンタイムが少なく、生徒の活動は多い。
・黒板に出て書くよりも、恥ずかしがらないで書ける。
・多くの生徒が参加できる。
・高2で、PCを使ったクラスと使わなかったクラスのテストの平均点が使ったクラスの方が高かった。
長尾先生:
参加型の授業が可能。匿名性があるので書きやすい。他の教科でも活用できる。気づきを中心とした授業で・・・

松林先生:
書き込みが間違った場合は、どうするのですか?

米田先生:
本校はペンタブレットを使っているので、それで画面上で修正しています。

小林先生(清教学園,VBB制作者):
VBBのねらいは、「頭の中からアウトプットしたものをみんなで共有する」です。今日の授業はもとより、たくさんの授業で使ってもらっているので、この夏バージョンアップする予定です。ご期待下さい。

長尾先生:
キャラバンのVBBに書かれている「情報以外でパソコン教室を利用していますか」についてはどうですか。

松本先生(大阪学院):
CALL教室があるが、英語の授業でe−メールを使っている。今日の久家先生のようにシステムを扱える先生が付いていないと使われにくいですね。

石部先生:
最初、何がPCや!と思っていた。黒板とチョークとしゃべりやと思っていたが、頭の中でシュミレーションして、VBBを使うまでに8ヶ月かかった。ペンタブレットが有意義かどうかは検討中。英作の今回の授業を見れば、感じるところがあると思う。黒板の良さもあるので、いつも使おうとは思わない。

長尾先生:
業者の立場から、何かありますか?

市村さん(内田洋行):
システム機器を売るだけではダメです。仕様が多いだけでもダメです。授業でどのように使い、どういう事ができるかを提示しないと。黒板とプロジェクタに先生方は興味を示したが、プロジェクタで映して黒板に書けるというのが求められている。

長尾先生:
学習効果が上がる機器を使うことが大切ですね。しかし、急にシステムが使えなくなった時、どういう授業をしますか?

高橋先生(東海大学仰星):
PCを使った授業をしても、テストで点数が取れるかが問われています。本校の中学校では、奈良先生が活用しています。

奈良先生(東海大学仰星中):
今日見て、VBBの匿名性はいいと感じました。PCは使っていますが、「tell me more」というソフトを使っているだけです。

辰己先生(大阪国際大和田中):
私も授業でPCを使いたいと思っているが、方法が分からなかったが、今日、見せてもらってこのような使い方があると分かった。他の使い方も教えたもらいたい。

大見先生(大阪学芸):
PCを使って英語を指導する本がたくさん出ているが、興味付けて終わっている。どのようにすれば、効果がある結果が出るのか知りたい。

川崎先生(飛翔館):
「教師は教えられたことしか教えられない」という話を聞いた。教育実習生は最新の教育を受けているはずなのに出来ない。今教えている生徒が将来どこが効果あったかを第三者的に評価してくれないと分からない。

奥田先生(大阪国際大和田,当研究会会長):
偏差値を10上げる先生がいる。目標を決めて無理矢理そこへ持って行く。いろいろな方法を使って目標に持って行く。大切なのは便利さと効果が目に見えないといけない。先生は生徒の理解度をチェックできない場合が多い。チェックできれば生徒の力は付けられる。

飯田(四條畷学園):
その先生が今回の授業を見たら、どうでしょうか?

奥田先生:
その先生は、生徒を集中させる。私が廊下を歩いていても、生徒は誰も振り向かない。

飯田
偏差値を上げることとPCを使う点でご意見をどうぞ。

米田先生:
数年前、PCを使い出したとき生徒からの評判は悪かった。こんなので英語の点数があがるのか?と。生徒との信頼関係がなかった。これで伸びているんだと実感させないといけない。小テストをしてよい結果を出して、生徒がPCのお陰だと思わせれば使える場面場面で納得させていくことが出来る。

小林先生:
授業でPCを使うことはあまり考えていない。授業以外での活用を想定している。同じ学校の全ての先生でなくても、1人の先生が作ったコンテンツを生徒がインターネットからアクセス出来るようにして、教材の共有化ができれば良いのではないか。中学の全教室にプロジェクタを導入するが、最近は明るいプロジェクタが出てきたので導入する黒板は従来通り使う。よく使う先生の教材が共有できればと思っている。複合的に働くことが命である。

飯田
江戸川学園取手のWebを紹介。

大見先生:
超進学校ならピッチングマシーンの様な授業でよいのではないか。そうでなければ導入部分で効果がある。どのようなものがあるか知りたい。

飯田
文科省のホームページに、イギリスでは学校教育においてITを活用した授業を展開したら学力が向上した、と報告があった。ITを活用した授業は生徒のモチベーションの上がる道具であるというのは間違いない。

松田教頭先生:
私もPCを使いたいが使えなかった。本日いろいろ教えてもらい、目からウロコであった。以前、使ったがかなり時間がかかった。10年もたてば普通に使われているようになるのではないか。そのように見据えてこれから授業をしていかなくてはならない。

このように、白熱した意見が飛び交いました。

 

 

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