第15回公開授業
総合的な学習の時間
「アンクルンを作ろう!」
「ディベートを楽しもう
「私はキャスター

研究授業  
意見交換会  
授業中の風景  

平成15年1月21日(火) 第6限
プール学院中学校 http://www.poole.ed.jp/
2年 総合的な学習の時間
授業者:青山一朗(音楽科)・石川真理子(理科)・林恵美子(国語科)



研究授業 総合的な学習の時間「アンクルンを作ろう!」
                    「ディベートを楽しもう」
                    「私はキャスター」

 2003年初めての情報キャラバンは、プール学院中学校での総合の時間です。今回は、総合の時間でも3つの講座を紹介していきたいと思います。

 プール学院中学校での総合の流れは、2000年から始まりました。2000年に『カリキュラム検討委員会』の中から3名の特別委員を作り、2001年は、2人加えられ、5人で『総合学習プロジェクトチーム』がつくられより具体的な準備を進めていきました。そして、今年2002年度から本格実施を迎えているという流れです。カリキュラム検討委員会では、チームの答申を受けて講座をわけることや、前期と後期の2期に分けて行うなどといったカリキュラムの大枠からつくっていきました。

 今回は、「アンクルンを作ろう!」「ディベートを楽しもう」「私はキャスター」の3つの講座を紹介します。「アンクルンを作ろう!」はインドネシアの民族楽器アンクルンを製作し,作曲,演奏,CD作成を行おうとする講座で、青山先生(音楽科)が担当します。「ディベートを楽しもう」は、生徒対教師ディベートなども交えながら,考え,調べ,発表する能力育成を目指すという講座です。担当は、石川先生(理科)です。「私はキャスター」は、インタビューや取材をし,原稿をまとめ,ニュースとして伝えるという講座です。林先生(国語科)が担当します。

 

アンクルンを作ろう!

(PDF:アンクルンを作ろう!指導案)


青山先生(左側) 今回の公開授業では8〜9時限目のアンクルンつくり真っ最中の授業風景を見ることができました。

 「アンクルン」とは、聴きなれない楽器ですが、インドネシアの民族楽器の一つです。本来アンクルンは、2本の共鳴体がオクターブ違いの音程を持つものです。しかし、今回に限り、そのオクターブの調整は省いて授業をおこなっています。そのため、2本の共鳴体はバラバラの音が鳴りますが、またそれも面白い!!ということで進めています。

 作業は個人個人でおこなっているため、真剣に作業をおこなっているように見えました。今後はアンクルンを持ち寄り、2分間の音楽を作る予定です。このとき、どんな風にメンバーの意見をしっかり出し合い、協力しあうかが見ものです。

 作曲で教えることは主に曲の構成の仕方です。2分の中にどのような音楽的場面を作り、配置していくか、またそれがメンバーの納得のいくものとなるか、その辺がこの講座のねらっているポイントです。

作っている様子。アンクルン設計図。

 

 

ディベートを楽しもう

(PDF:ディベートを楽しもう指導案)


  この講座では「ディベートを楽しもう」ということで、ディベートをおこなうことを中心に授業を進めています。ここでは、「論理的思考」を養い、「情報収集力」をつけ、「人を納得する」ようなプレゼンテーションをおこなう、という三点を身につけることを目標に進めています。今回の授業は、データを「すると」や「そして」でつなぐことで論理的思考を養うことを目的にしています。
石川先生。 この講座の流れは、まず、簡単な言葉遊びやテーマで発言することの抵抗をなくすことからはじめています。

次に、2グループ(肯定・否定)に分かれて、先ほどのテーマについて意見を出してもらいます。このあたりになりますと、みんなもかなり打ち解けた雰囲気になり、たくさんの意見が交わされるようになりました。そして、身近な話題や出来事からディベートの論題になりそうなテーマ探しを行い、ディベートに必要なデータや情報をインターネットやインタビューで収集することがおこなわれます。今までのテーマから発展して、生徒に身近なテーマを探し、それについて意見を出し合いました。今回は、「女性専用車」をテーマにすえて、各自が情報収集に努め、集めたデータを利用して自分たちの意見を論理的にまとめ、ディベートの試合を行います。ディベートの試合終了後、生徒に論題についてどのような意見をもったかをまとめてもらう予定です。
 今回の授業では、女性専用車について集めた情報をメリット、デメリットにわけ、それを「そして」や「すると」でつなげると言うことをおこなっていました。生徒のみんなは、一生懸命課題に取り組んでいました。

データをつなげている様子。授業風景。

 

 

私はキャスター

(PDF:私はキャスター指導案)


林先生。 「私はキャスター」は、中学生がテレビ番組のキャスターやインタビュアーになって様々な人にインタビューを行い、それをニュース番組を作成する放送する講座です。ここでは、インタビューを通して、情報活用能力や文章表現能力、人間関係の中での信頼感を培うことを目標に授業は進められています。

 
この講座は3段階のステップに分かれて進められています。
■第1ステップ:自己紹介・他者紹介

■第2ステップ:全員が共通テーマで番組作成をする。
[前期]校長先生を紹介しよう
[後期]お世話になっている方々
・インタビュー内容検討作成・記者会見・記録整理・原稿作成のためのミーティングを行う
・各自原稿構成・文章作成・朗読練習・ビデオ録画・批評会を行う

■第3ステップ:ニュース番組をつくる
人物紹介・社会・娯楽・教養・国際・環境・学校での出来事といった項目の中から取り組みたい内容を選び、具体的に番組作りへと進んでいく。

ニュース風景。授業風景。

 

授業者のコメント

左から青山先生 林先生 石川先生 授業の狙いとして、音楽をつくるところ楽器をつくる難しさを味わうところの2つです。
前者は、メロディ以外の構成を工夫することによって曲ができあがることを学習してほしいと思い、アンクルンを使っての授業を行いました。たくさんの楽器を使うことも考えたが、授業時間の少なさ(週1時間)から、また楽器に愛着を持ってほしいということで1種類の楽器にした。
後者は、楽器をつくらせると、上手に作る子と作ることができない子が出てくるのは出てくる。しかし、それでもその失敗からそれを活かしながら頑張って形にしていくことも課題だと思います。(青山)

 授業の狙いとして、物事を論理的に考える力と、それを伝えるプレゼンの能力をつけてもらうことです。
教科は理科なんですが、物事を論理的に考えさせることができない子がいるのが現状です。また、中学2年生の時期になると、雑談では言いたいことは言えるが、それ以外な部分では人に上手に伝えることができないという子がいます。それで、実験の原因と結果から何かを考えるといったことができなかったところをなんとかしたいと思い、この授業を考えました。(石川)

 この授業の狙いは、インタビューという流れを通して、文章理解能力をつけ、そのうえ個別の人間関係の中で信頼感も培うこともできたら、ということです。
文章を読んで、理解する、理解したことを他者に説明する、さらに自分の主張を述べていくといった力をつけるためには、小学校、中学校のうちの指導が大切だと考えています。そのため、原稿の校正段階で編集会議をもち、1人ずつに指導を行っています。1対1で見てくれるということは、中学生にとってとてもうれしいことである。それで中学生自らが表現したいという思いを引き出しながら、情報を編集、構成する力を鍛えていきたいと思います。
今後は、新聞の社会・経済・家庭面それぞれに違ったテーマがあることを意識しながら、自分のテーマを決定し、番組づくりをすすめていく予定です。班ごとにテーマをかえてクラス全体でニュース番組をつくることを目指しています。インタビューに自分で行きたいという生徒もでてきて盛り上がっている状況です。

 


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