平成18年度 総会のレポート

テーマ

「ポスト2005年の情報教育と学校の情報化」
     −国際的な視野からみた情報化のゆくえ−
月 日 平成18年5月27日(土)
時 間 受付 12:30〜    開会 13:00  終了 17:00
会 場 大阪国際滝井高等学校 
プログラム

  
1) 第5回情報関連のミニセミナー 13:00〜14:00
(1)1:00〜1:30
  三谷商事株式会社(青木氏)  「指紋認証機能付USBフラッシュメモリ  iDEA-Pro」
   USBメモリの使えるパソコンであれば、どのパソコンでも使える。    
     http://tkinfo.mitani-corp.co.jp/product/ideap.html

近年、高校入試の事前相談で生徒の情報を持ってきてもらう場合に、USBメモリーを中学校に配布してそれにデータを入れて持参してもらう方法を取り入れる学校があると聞いている。
 
確かに中学側にも高校側にもメリットがある。データの内容の取り扱いには、最新の注意を払う必要があるので、暗証番号付きのものや、今回紹介頂いた指紋認証付きのメモリーであれば、盗難や紛失の際にもデータの安全性は、少しは保障されると思われる。

 
指紋認証方式には、幾種類かあるようだが、まだまだ暗証番号方式に比べると高価である。


(2)1:30〜2:00
  大阪ウチダシステム(岡田氏・田中氏)  「インタラクティブユニット」
  キャビン工業株式会社 ビジュアル営業部(砂永氏・二上氏)
      http://www.uchida.co.jp/osyohin/inter_unit/index.html
    利用しているホワイトボードが電子情報ボードに早変わり!!
    かいた文字や図形を リアルタイムにパソコンへ取り込めます。 Windows98からXPまですべて対応。
  (清教学園小林直行先生による説明と実演)
 
試行的に利用している清教学園さんでの様子について説明をして頂きながら、実際にこのユニットを操作して頂いた。利用に慣れるまでに少々の練習が必要かもしれないが、現在、学校にあるプロジェクタを活用するには、非常に便利なツールである。先生の基本は、やはりこれまで黒板とチョーク、教科書であった。その教育資源をさらに高い機能を付加して使っていこうという発想の元に開発された商品である。
6月30日(金)には、実際に清教学園の中学校で、このユニットを毎時間活用して生徒から活発な意見を引き出している理科の授業が公開される。第42回授業公開キャラバンである。
理科以外にも社会の教員や国語の教員の中にも活用している人が出始めている。実際の場面での利用を知りたい教育関係者は、是非、ご参加を。

 
2) 総会議事 14:10〜14:40

 

総合司会

  藤本雅巳先生(大阪国際滝井高等学校)

  研究会会長挨拶

  奥田三郎先生(大阪国際大和田中学校・高等学校長)

 

議長選出

  津田郁夫先生(大阪薫英女学院中・高等学校)

 

平成17年度活動報告

  池田竜司先生(上宮中学校・高等学校)

 

平成17年度会計報告

  川崎初治先生(飛翔館高等学校)

 

平成17年度会計監査

  今井隆史先生(明浄学院高等学校)

名称変更報告
役員改選
平成18年度事業案

  今井隆史先生(明浄学院高等学校)

 
 
 

平成18年度予算案

  松本宗久先生(大阪学院大学高等学校)

3) 講 演  「ポスト2005年の情報教育と学校の情報化」  15:00〜16:30
  
           −国際的な視野からみた情報化のゆくえ−」  

     永井 克昇 先生

          国立教育政策研究所 教育課程研究センター 教育課程調査官
          文部科学省初等中等教育局 参事官付 教科調査官

・「情報をセンター試験に入れれば、もっと情報教育が盛んになる。なぜンター試験に盛り込まれていないのか?」という質問

 → すぐにセンター試験に「情報」が入れられる見込みはない。しかし、将来的には盛り込まれるべきだと考えている。
  センター試験に情報が盛り込まれるなら、「情報A、B、C」のままで本当に良いのか、単位数を見直すべきではないのか、といった課題が浮かび上がるだろう。

・小中高連携について
  教育基本法の動き見る必要がある。幼小、小中、中高、高大の連携が今後、益々重要になってくる。これは、全国的な動きである。

・教育の情報化とは次の2点が重要
  1) 教育の情報化
  2) それぞれの教科指導をより良いもの、より分かりやすいものにするために、ITをもっと活用しましょう。
 2)がこれからは、より一層重要になってくると思われる。

<K-12について>
  学校でインタ─ネットを使うための会議(アメリカ)

3つのキーワード
 1) 競争力
  ITを教育に使う目的は、スキルの修得ではない。ITを使うことによって、子供たちの学力がどのように向上したのか、が重要である。そのことの実証をしていく必要がある。

  2) 一人一台(生徒・児童)
  家庭でもパソコンを使用できなければ、学力差が生じてしまう。
一人一台パソコンを与えることができれば、デジタルデバイドを防ぐことができる。しかし、問題点として、費用がかかる。サポートしてくれる人材の確保などが挙げられる。
  技術的に可能なのか、ということは問題ではなく、ITを導入した場合、それをどう使うのかということが重要である。

 3) データによる制御
  データ(子供の確実な学力向上に関するデータ)に基づいて、制作、評価、管理をするべき。
  これまで「教育」の分野は、特別扱いであったが、今後、教育とビジネスにおけるマネジメント分野の双方において、考え方に大きな違いはないものと理解されるようになってくる。

<E-JapanからU-Japanへの流れ>(U:ユビキタス)

E-Japan
「すべての学校、授業でインターネットを使う。」
  しかし、実現はできていない。今後の課題として、以下が挙げられる。
(1) 学校のICT環境の整備
(2) 教員のICT指導力の向上
    ・授業をデザインするための力をつける。
(3) ICT教育の充実
(4) 校務の情報化の推進
    ・20万台は学校のパソコン、50万台は教員のパソコン→教員一人一人にパソコンを
(5) 情報化の「影」の部分への対応

<教科書需要にみる科目の履修状況>

・情報A→4分の3
  情報A,B,Cどれをやっても、すべての能力(実践力、活用能力)を修得できるようになっている。
  今後は、BとCへの以降、もしくは、複数選択ができる学校が増えると思われる。

・生徒間の学力差は年々大きくなっている。
  必須科目ばかりではないので、教えている内容に差がある。そのために、中、高の学習内容が直結しない。

・専門教科情報を持っている公立高校は、全国で14校。A、B、Cのうちいずれかと専門教科情報を履修させている。

<教育課程部会の検討体制>
  普通教科情報について → 小中高の部会 に載せられている。

  


■意見交換会:  進行(大阪信愛女学院短大 長尾 尚先生)

最初に永井先生のお話についての質問を受け付けて、その後、関連する3つのテーマに絞ってフロアーの皆さんのご意見を伺っていきたいと思います。

(1)生徒の問題
(2)教員研修の問題
(3)機器の問題

笹谷先生:(相愛高等学校中学校)
【質問】教科「情報」における学力とはどのようなものと考えているか。

【回答】情報の学力ということではなくて、いろいろな教科における相対的な学力ということを考えている。ペーパーテストとして何点とれるかということもある意味学力といえる。しかし、それだけではない。教科「情報」で得られた学力を他の教科にも生かせるような力を目標とするべき。

米田先生:(羽衣学園中・高等学校)
【質問】情報教育に関して「メディア・リテラシー、生きる力」ということがキーワードにあると思うが、そのことをどのように現職の先生に伝えていっているのか。

【回答】ある技術が生まれたときにそれが必要であれば、全員が学ぶようになってくる。教科「情報」も同じようなものなので、それは学校で教えていく必要があるということを伝えている。教科「情報」で得られた学力をそこで止めるのではなく、他の教科に生かす手だてを考えていくべき。

吉村先生:(春日丘高等学校)
【質問】情報で学んだことを他の教科で生かしたいと思うが、インフラの問題で上手くいかないことがある。その問題を解決するためにどのような工夫をすればいいか。

【回答】最低条件としてインフラの整備は必要。例えば総合的な学習と連携して、プレゼンなどを総合的な学習にまかせて実質4単位にしているとこがある。他の教科が情報教育の内容をしていることがある。そのような部分を使って連携が出来る。しかし、そのためにはインフラの整備が必要。

飯田先生:(四條畷学園中学校・高等学校)
【コメント】私立の現状としては、公立学校の場合と少し違っていて、「設備はあるが使える人間がいない」という残念な状況になってしまっているのも事実である。

長尾先生:(大阪信愛女学院短期大学)
【質問】他教科の教員研修の中には、情報を活用した学びといったものがテーマに入っていますか。

【回答】他の教科の教員研修にも、大学での勉強の中でも、教科に関係なくコンピュータの技術の勉強をしていると思う。

   

【特別プログラム】 ドミニカ共和国の村上先生とのテレビ会議(スカイプ利用)

  本日の講演の副題が、「国際的な視野からみた情報化」となっていたので、当研究会の役員で、現在、国際協力事業団(JICA)のシニア海外ボランティアとして派遣され、その派遣先がドミニカ共和国のINFOTEP(職業技術訓練庁)である、村上徹先生とスカイプで接続しています。村上先生は、昨年まで精華高校の情報の教諭として活躍され、キャラバンでも何度か授業を公開して頂いています。(現地との時差は、13時間です。朝の4時ごろにご自宅と接続しました。)

  現在は、国立の専門学校である職業訓練校の様子しかわからないそうですが、今後、現地の小学校、中学校、高等学校における情報教育につてもレポートをお願いしています。今回、3人の子どもさんを連れての海外赴任なので、そのうち学校の様子を聞けるチャンスも出てくると思います。短時間ではありましたが、ドミニカからのレポートをお願いしました。

  村上先生に連絡をとって、スカイプでドミニカと交信したい方は、研究会までご連絡下さい。総合的な学習の時間や、地理、歴史の授業でお手伝い頂けるということです。スカイプのアカウントは、(r-r911) です。


■閉会の挨拶     飯田先生:(四條畷学園中学校・高等学校)

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