<平成17年度 春の研究発表大会> レポート

テーマ

「ポスト2005年の情報教育と教師のスキルアップ」
月 日 2006年3月11日(土)
時 間 午前10時30分 〜 午後5時
主 催 大阪私学教育情報化研究会
会 場 私学会館 5階・講堂
 大阪市都島区網島町6-20 TEL 06-6352-3751
■第1部

 午前:10:30〜12:00 企業ミニセミナー<学校で役立つスグレもの>

  (1) 「電子ボード機能付きプロジェクター」      NECビューテクノロジー(株)  西島 淳之 氏
  (2) 「生徒募集を意識したホームページ運用」   松下電器産業(株)  田上 正範 氏
  (3) スキャネットシート                 (株)ネットシステムズ  岩佐 英彦 氏

   

■第2部
午後の部が始まりました。(司会:津田先生) 奥田会長の開会の挨拶
たくさんの方に参加いただきました(会場の様子) 米田先生から講師(田邊先生)紹介
(1) 講 演 13:00〜14:00
講演テーマ: 「ポスト2005年の情報教育と教師のスキルアップ」
講 師: 田邊 則彦 先生 (慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部教諭 担当科目:情報教育)

  
最初の部分で、先生方に10年くらい時間を巻き戻して、教員としてあるいは生徒としてどんなことをやっていましたか?
私は1996年というとインターネットにどっぷりつかっておりました。私の学校は新しく語学教育と情報教育を2つの柱として設立されました。設備の方はマルチメディアパソコンがずらーっと並んでいたが、全てがスタンドアロンで独立していた。文字を入力するにはワープロソフトが買えなくて、エディタを使っていた。
 
翌年にはパソコンをつなげたいと思っていたが、その時はファイル転送ということではなく、画像転送システムが推奨されていた。データを共有したいと考え、色々な所に相談したが、いい返事は返ってこなかった。アメリカでは企業でネットウェアというものが利用されていたという話を聞いた。さらに翌年には、大学から学生が使ったUNIXを譲り受けて、生徒1人1人にアドレスを付与して使用し始めた。その時代に使えるホームページはNASAなど一部で日本語のホームページで使えるものはなかった。メール交換をしようとしても相手がおらず、アメリカに相手を求めた。

「IBMのビデオ・エディクエスト」を視聴

10年前には夢だった技術の中で実現しているものもいくつかある。まだ、実現していないものもあと一歩のところまで来ている。エディクエストを始めて見たときに信じられなかった。

「Visions 2020」米国商務省

さまざまな仮想体験学習、家庭や学校での遠隔教育。それらが、2020年には実現するのではないかというもの。

コミュニケーションメディアで学ぶ教育環境
日本では教育は学校におまかせという考えだが、アメリカではインターネットも含めたコミュニティが相互に関係して生徒を育てていく。

自分しかもってない情報というものはたくさんある。それを共有してこそ情報の価値は高まる。

「ここで少しゲームを。10個のお祭りの写真を見て、そのうちいくつ何という祭りかわかりますか?隣、後ろの先生方と相談して正解をあてて見てください。相談した結果、わかったものがあったという先生はいますか?」 ・・・(何人も挙手)

隣の人の知識と自分の知識をあわせて、新しい知識を得るということが教室では出来る。50分の授業の中でパソコンにずっと向かっている必要はない。

教材をインターネット上で見つけよう!
「Google Earth、NICER、美術館や博物館のページ、統計データ」
「NICER」 コンピュータをあまり使わない先生方にこんな授業をしているという紹介のページも増えてきた。
「理科ネットワーク」
 理科の授業などに役立つようなコンテンツが豊富にある。

   
使えるところで使えるコンテンツを・・・(上右写真)
 
新しい教育ツールはまだ確立されていない。コンピュータはいろいろなことが出来すぎる。ツールの本当に効果的な使い方は、道具に使われないこと。仕事はコンピュータでする必要はない。コンピュータは、得意な部分・必要な場面で使用すればいい。

情報語力とは、
コンピュータリテラシーだけではなく、ネットワークリテラシーやデータリテラシーを含む情報リテラシーのこと。コンピュータだけのものではないので、図書館などとの連携も必要になってくる。情報語力を身につけて、さまざまな情報を的確に利用するということが必要になってくる。表現したいことを自らの責任と覚悟を持って表現するということを身につける必要がある。

情報語力は教えられるのか?
情報語力は教えられるものではなく、鍛えていくもの。特定の教科で教えるというものではなく、全ての教科に関してメタ学力として扱うもの。

最近のポイントは情報安全教育
どこでも安心して情報を扱えるようにする。

情報教育のカリキュラムは
年々変化している情報環境に合わせて、次々に変化していっている。学校でやっていることが家庭ですでにやったことのある内容かもしれないので現在、「表現」ということに重点をおいている。

「生徒の作品:ぬいぐるみ紹介、クレイアニメーション、インタビュー記事を作る」(写真下)

自分がなにを相手に伝えたいのかということを考えて、作品を作らせている。インタビュー記事は、作って終わりではなくインタビューした相手に見せる。そこから得られた反応を聞く。情報を発信する側の意図という部分に気づかせるという目標がある。毎日、なにか教材に使えるものはないかと考えながら様々なものを見ている。

   

 (2) パネルディスカッション 14:20〜15:50

コーディネーター
田邊 則彦 先生 (慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部教諭  担当科目:情報教育)
 
パネラー
北野 泰男 先生 (寝屋川市立第二中学校 校長)
  西田 大介 先生 (近畿大学附属高等学校  担当科目:情報教育)
  飯田 英佳 先生 (四條畷学園高等学校  担当科目:情報教育)
テーマ
「情報教育の現場で、先生方が悩んでいること。こうなればいいと思っていること」

西田先生:
近大付属高校ではパソコンそのものが足りていない。1学年24クラス、週2時間のクラスを担当しているが、実習教室を使う時間が決められていて座学の授業を入れなくてはいけない。連続して作業をしたい場合でも、座学の時間を入れなくてはいけないので、作業を忘れたり作品のクオリティが低くなってしまっている。だた、パソコンを使うことが情報の授業の全てではないので、座学の授業で情報の本質に迫れる授業が出来ないかと考えている。

田邊先生:
ハードやソフトが足りないという声は色々なところで聞かれる。その点で、座学で情報の本質に迫れる授業は注目すべき点。パソコン教室がなくても授業が出来る。(ネットワークを利用できるゲーム機を利用するなど)考える余地がある。

飯田先生:
全教室にパソコンは入っているが、授業で使っている先生はほとんどない。使うのは休み時間に生徒がちょっと使う程度。学校でIT化を進めているので、先生方にパソコンを使った授業を勧めているが、設備等の問題でうまくはいっていない。情報の授業においてはプレゼンテーション・表現の授業を多く取り入れている。中学校時代に人前でプレゼンをしたことがある人は?と聞くとほとんどいない。大学の入試でもプレゼンテーションを取り入れるところが増えている。プレゼンの機会を何度か経験させる必要性を感じている。去年やったことが今年は通用しないことが多いと感じている。

田邊先生:
他教科の先生方が使ってくれていないことは残念。やはり、教師のスキルアップという部分が求められてくる。北野先生は校長先生としてさまざまな先生方に使ってもらえるように希望しているのではないかと思うのですが。

北野先生:
校内の先生方、数名に研修に出てもらっている。夏休み等に講習も行っている。先生方がどこが得意でどこが苦手なのかという指標のようなものを作ってもらいたい。それを参考にその先生に合った研修を紹介できるような環境が必要。そして、授業に使うということでは、そこにパソコンがあってすぐにインターネットにつなげられるような状況が必要。具体的にこのような授業をやったが、あとこういうところが足りないということを学校現場から発信していくということをしている。

田邊先生:
先生によってやりたいことも技術もまちまち。個人のパソコンからインターネットにつなぐということが重要なのではないか。現状では、先生方はいろいろな問題を持ちながらやりたいことがある。フロアにいる人にそこを聞きたい。今の若い先生とベテランの先生との違いはどこにあるのか?飯田先生の場合は、夏の研修を受けて免許を取られていますが、こんなことをやりたいという夢はありましたか?

飯田先生:
今までは学校設定科目だったので、楽しいことを中心に出来たが、必修になったことでしなければいけない内容が増えたと感じる。

田邊先生:
大阪府立では、「情報」だけの教員免許で何人くらいが採用される状況ですか?

西田先生・猪飼さん:
当時は初年度だったのでとても少なかった。

田邊先生:
情報のみで採用される先生は少ない。採用が厳しいので先生を目指す学生が少ない。やる気のある学生に免許状が付与されて、現場で活躍できるのかというとそうではないということが残念。夏の研修で、国語や英語の先生が情報の免許を取れないということにしたことが、英語などと情報が混ざりにくい原因になっているのではないか。飯田先生の学校では情報に特化している先生と他教科と合わせて教えている先生とどっちが多いですか?

飯田先生:
合わせて教えている先生が多い。私は情報専任で教えているが、知り合いの先生方も他教科も受け持つ先生が多い。

田邊先生:
情報も専任になっていくべきである。ネットワークの管理をするのは先生の仕事ではないと文科省も言い出している。先生の仕事は、教えることと生徒対応すること。大阪の私学ではどのようにされているのですか?

飯田先生:
システムエンジニアを置いている学校はほとんどないと思う。手に負えなかったら業者に頼むということになっている。

田邊先生:
そういうことを声を大にして訴えていくべき。うちの学校ではネットワークの管理についてアウトソーシングに頼んでいる。しかし、費用がかかるので大変。米田先生も大変ではないですか?

米田先生:
作業分担という形が整いつつある。情報の教師は授業に専念しやすくなってきている。

田邊先生:
Post2005ということのポイントはここにあるのではないか。スキルアップということに関して、自らスキルアップを心がけているという先生や、したいと思っているが時間や場所がないという先生方が多いのではないでしょうか?校長先生の立場では教員のスキルアップは重要だと感じてらっしゃるのではないですか?

北野先生:
パソコンを使える先生は45%、小学校に授業見学に行っても、パソコンを使っている先生でもベテランの先生と共同しているところは少ない。中学校では授業に使っているところは少ない。しかし、情報化が進んでいる現在、中学校でもパソコンが教室に入るという状況になったときに使えるようになる必要があると感じている。

田邊先生:
先生同士の情報共有が出来ていないということを感じている。西田先生はどうですか?

西田先生:
情報担当の教員が非常勤なので、連絡はとれている。それを担当の教員に伝えて、無理は聞いてもらっている感じはする。

田邊先生:
他教科と共同して使うということでは、飯田先生のところに依頼はきませんか?

飯田先生:
まだまだ少ないです。情報スキルアッププログラムというものを見つけた。しかし、使用できなかった。情報科の教員になって、その学校の情報推進役になっている先生方は多いと思います。

田邊先生:
教員のスキルアップということで長けた先生のところに行って教えてもらうとその先生の負担になってしまう。他の先生方に負担をかけない方法でスキルアップする事が重要。フィンランドでは、e-learningが多い。コンテンツも細分化されている。そして、それをやってわからないことについてはリクエストに答える環境も整えられている。フィンランドという国の特色で言語学習にもe-learningも充実している。そして、その情報をEU各国に提供している。そして、フィンランドも他の国のものを利用するという情報共有がうまく行われている。日本も日本語のコンテンツだけではなく、英語のコンテンツを利用するという風潮が出てくればいいと思う。そのためにはどこにいいものがあるかという情報について、先生方が共有できるシステムが必要だと思う。

米田先生:
感想、質問などをお願いします。プール学園・小池先生、神戸国際高校・大木先生お願いします。

小池先生:
アウトソーシングがキーになるというのはわかるのですが、情報の教員がひとりなので様々な雑務をふられる。各教科での情報の使いこなしを紹介するということをしていきたい。授業のサポートというアウトソーシングという話も聞いたのでそれも興味がある。

田邊先生:
授業についてパソコンに長けた教員でない人(外部人材等)がサポートするというのもひとつの手です。しかし、先生方にそもそもイメージがないということがある。そういったイメージはだいたいNICERにあがっている。それを参考にすることも出来る。

大木先生:
ハードの問題についてはランニングコストについて問題になっている。LANを維持するためのコストをどうするかということが問題。私は地理・公民科の教員ですが、情報の先生方がサポートをして授業を行ったりしていますが、広がらなかった。理由としては「コンピュータを使わなくても授業は出来る。」と感じていることがあげられる。そこを他の教員の方に理解してもらうことが問題。

北野先生:
パソコンを活用する事によって、従来の黒板ではできなかったことがこのように出来るようになるという具体的なことの意識を高める必要がある。

飯田先生:
学び、学力というものは教えられてつくものではないと思う。生徒に自分で調べて、学ぶきっかけをつくってやることが重要。全部を教え込むということではなく、意欲を高めてもらえる授業を行うことで学力がつくのではないか。

西田先生:
私は逆に大学で免許を取っているので、教室で黒板を使って授業するということが想定外。私自身、黒板での授業とプロジェクタでの授業の違いを見極めている状況。

田邊先生:
電子黒板がどんどん使いやすくなってきた。それをうまく使えば、電子のものと黒板の両方のよさを使うことが出来る。従来のものと新しいものをうまく融合させることを考えていくといいのではないか。教員のスキルアップを問うという部分では、文科省の調査の項目を「コンピュータを使って指導は出来る」よりも「どれだけコンピュータを使った授業をしましたか」という実績を問う質問にするべき。

松本先生:
高校で授業を行って、悩んでいることは授業内容について。2年生で情報Aを週2回の授業で、検定を通るための授業しかしていない。そういうことをして意味があるかという疑問は持っている。今年度は関西大学の大学院と連携して、ワープロ検定ではなくプレゼンテーションの授業を行おうとしている。生徒には考えて悩むという授業をさせたいと思っている。

田邊先生:
情報の中で、問題解決型の授業をしていくということで、技術系の考え方から抜けなくてはいけない。さまざまな情報共有の場所に行って、いろいろな授業を吸収するアンテナをはることが重要。NICERでは、授業の流れ、展開、まとめなどから詳しく見ることが出来る。スキルに関係するページもある。

猪飼さん:
僕はまだ教壇に立ってはいないんですが、大阪府立の高校で大学生・大学院生と現場の教員と一緒に授業を作るという実践をしている。目的としては、大学で学んだプロジェクト型学習の知識を現場の教員に伝える。大学生は現場の知識を得る、ということで。

田邊先生:
若い力が現場教育に貢献するのは大切。現場のスキルアップについてはリカレント教育「リ・カレント」ということがある。少し古くなったものを勉強してまた、新しくする。その「リカレント」の場が必要。もし、「リカレント」の場があったとしても、自分がどのような技術が必要なのかということを認識していなくては無駄になってしまう。上手に浸透させるためには、簡単な言葉に変換して伝えること。柔軟に伝えていくこと。

パネラーの先生方、最後に一言ずつ。

田邊先生:
100ドルでPCが出来る。目標は情報格差をなくすこと。豊かな国はそれを200ドルで買って、半分を足りていない国に回す。その活動が動き出そうとしている。

(3) 研究発表
1) ICTプロジェクトの活動報告 
米田先生:
ICTプロジェクトでのICTはInternational Communication Technologyの略。さまざまな情報を得られるコミュニケーションの場にもなっている。各セッションの内容を、それぞれのホームルームティーチャーから説明していただきます。

1回目:大阪国際大和田高校・吉田先生
生徒たちの初めての顔合わせなので、アイスブレーキングとプレゼンを兼ねて、プレートにシールを3つ貼ってグループを作り、自己紹介をするというもの。そして代表者が前に立って発表。いろいろなテーマ別にシールを貼っている生徒が多く、楽しそうだったのが印象的。その後、各学校に分かれてのプレゼンテーション。テーマは「学校自慢」。ブレストボードの感想に慣れた、楽しかったという意見があった。何が楽しかったかと聞くと「他の生徒・先生の発表が見れたのが楽しかった」という意見があった。

 
2回目:聖教学園中高等部・山本先生
「This is me!!」という自己紹介の方法。自己紹介は生徒が一番多く行うプレゼン。今までのような型にはまったものではなく、自分をもっと伝えられるアイテムを持ってくるように言って2分間で発表をする。グループの中から1人を決めてブラッシュアップをして代表者が発表。自分の客体化が難しい。残りの時間で、新幹線の車内で話しかけても反応しないという役の先生方に、むりやり話しかけるというものをした。

3回目:プール学院中、高等学校・林先生
4つの関門。4人がチームを組んで関門を越えていく。恥ずかしさや相手への伝え方を考える。とっさのときの判断を気付かせる。大変でしんどいものだったが、遊びなども含めて楽しんでいた。

4回目:米田先生
パワーポイントに初めて触れさせる。構成・発表などについて考えさせる。3つの言葉で夏の思い出の説明。それをつなげて人前で発表。聞いている生徒にはリアクションを取るように説明。休憩を挟んで、パワーポイントを使って身の回りのものに関して、キャッチコピーを考える。最後にお題を決めて、1ヶ月半後にプレゼンを行う。

5回目、発表:池田先生
生徒たちは柔軟な発想で、様々な面白いものを作っていた。学校の先生や、学生、企業の方のエキシビションとして発表を行った。

プレゼン甲子園・本番DVDを見る。   優勝校は「開明高等学校」でした。

   
2) 教育情報化モデル校(四條畷学園高校・清教学園高校)

教育情報化モデル校認定(四條畷学園高等学校・清教学園高校)
私学同士の学校はある種のライバルのような部分もあるので、お互いの情報を見ることは難しかった。そのために、大阪私学教育情報化研究会が情報共有の窓口になるために行っている。各学校の実践紹介。
   
3)  (財)CECの産業協力情報授業を実施して  米田 謙三 先生(羽衣学園高校)
CECの産業協力情報授業を実施しての実践説明。産学連携を広める実践。実際のものに触れることによって生徒や先生にも刺激になる。今後の情報教育のステップアップのためにはこのような産業や学生との連携が重要になってきた。
   
   
その後、懇親会→2次会と講師の田邊先生を囲んで話は盛り上がりました。

 


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